2018年9月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

ロイヤルティはお客様目線で測ろう

ISラボ 代表 渡部弘毅

 自宅の近所で一杯引っかけて帰宅するという、小市民の楽しみを味わっている、わたちゃんです。しかし、ここぞ!!という焼き鳥屋がなく、味は可もなく不可もなくですが接客がちょっとイマイチな店が行きつけです。

 企業の競争力の源泉が商品(モノ)から体験(コト)に移りつつあります。使用料を毎月お客様からいただくサブスクリプションのビジネスモデル企業を中心に、「カスタマーサクセス」という新たなキーワードが登場、新規顧客の獲得よりも既存顧客のロイヤルティの向上がますます重要になってきました。

 しかし、なかにはロイヤルティの定義を誤解釈している企業も多くみられます。「我社の主力商品であるXXを購入していただいているお客様」「年間でいくら以上購入いただいているお客様」「ポイントプログラムでのプラチナ会員」「毎月来店していただいているお客様」などをロイヤルティの高いお客様と定義している企業のことです。

 いずれも、企業目線、すなわち「企業にとって都合のよい行動をしていただいている視点」でロイヤルティを判断しています。もちろん、ロイヤルティの高いお客様は高い買い物を頻繁にしていただいている可能性が高いことに間違いはありませんが、「自社の収益面で貢献していただいている=ロイヤルティの高いお客様」と定義するには違和感があります。

 ロイヤルティはお客様目線で測ることが重要です。お客様の企業に対する気持ちや意向で測るべきなのです。近所に同ジャンルの飲食店は1店舗しかなく、店員の対応に不満を持っていても他の選択肢がないため、来店し続けているお客さまをロイヤルティが高いお客様といえるでしょうか。同様に、今は収入が少なくて購入金額は低くても、お気に入りのブランドの購入品を大事に着ていただいているお客様は、アパレル店にとってロイヤルティが低いお客様でしょうか。

 ロイヤルティの向上とは、お客様の再購買や友人への推奨の「意向」を高めることであり、結果として、中期的視野で収益に貢献していただけると解釈することが重要です。そう考えることで、ロイヤルティ施策はお客様とのエンゲージメントを結ぶための中期的視野に立った施策が生まれてきます。短期的視野で来店回数や金額を増やす、あるいは自社の都合のよい商品を買っていただくセールやキャンペーンを展開するだけではありません。お客様の接点での体験価値(カスタマー・エクスペリエンス)の向上施策が生まれてくるはずです。目の前のお客様に1年後もご愛顧していただくために今やるべきことを実施することがロイヤルティ施策なのです。

 ということで、再来月、近所にオープンする焼き鳥屋には大いに期待を抱いています。今の焼き鳥屋さんもロイヤルティの本質をしっかり把握して対策を打てば今からでも遅くないのになぁ。