【トレンド】フィールドサービスソリューション

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[トレンド]フィールドサービスソリューション

「何度も聞かれる」「たらいまわし」を防ぐ!
サポートの“5W1H”を徹底共有

スピードと正確性を求められるフィールドサービスは、「いつ・どこで・だれが・なにを・どのように」実行したかをリアルタイムに把握し、情報共有できることが、顧客満足度向上のカナメとなる。主要各社のフィールドサービスソリューションは、現場の情報をスマホ、タブレットを通じて取得、部門をまたぐ情報共有を実現する。

 フィールドサービスは、受電、ディスパッチ(作業の割り当て)、修理/メンテナンスなどの業務プロセス別分業体制であることが多く、情報共有が難しい(図1)。とくに、CE(カスタマーエンジニア)またはFE(フィールドエンジニア)の作業現場と、コールセンターやディスパッチセンターとの物理的な距離があればあるほど、リアルタイムに「いつ・どこで・だれが・なにを・どのように(5W1H)」実行したのかを把握しにくくなる。

 フィールドサービスソリューションは、情報共有を支援し、「一度伝えたことが伝わっていない」、あるいは「たらいまわしにされた」といった顧客の不満を解消する。近年は、スマートフォンやタブレット向けのアプリをCE/FEに配布することで、リアルタイムな情報取得が可能になった。

 クラウドCRMベンダー各社が相次いでソリューションの提供を始めたことで、選択の幅も広がっている。ここでは、「(1)コールセンターがディスパッチ業務も兼任する」「(2)複数の委託会社で運用している」「(3)コールセンターが部材調達も管理する」といった3つの運営形態で活用できるソリューションを検証する。

図1 フィールドサービスの課題

図1 フィールドサービスの課題

[1]ディスパッチ業務を兼任

自動割り当てで効率化を支援

 ディスパッチ業務も兼任するコールセンターでは、受電から修理・メンテナンスの作業完了までのマネジメントを一気通貫で行う。ディスパッチは、納入製品や所在地といった顧客情報と、CEの保有スキルや作業予定を照らしながら“パズル”のように割り当てるため、相応の経験を積んだ人材でも多くの時間を割く。

 オラクルは、カスタマーエンゲージメントによる収益向上を支援するクラウド・アプリケーション「Oracle Service Cloud」のコンポーネントの1つとして、フィールド・サービス管理機能を提供。自己学習型ルーティング・エンジンによって、ディスパッチを自動化できる。

 「2015年2月に買収したフィールドサービスソリューションのグローバル大手TOAのエンジンを採用しています。1万件の依頼をCE1000人に約4分で割り振ることができます」と、日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 事業開発本部 ビジネス企画・推進部の東 裕紀央シニアマネージャーは説明する。

 エンジンの特徴は、従来のディスパッチの判断基準となる受付情報と顧客情報、CEの保有スキル、作業予定に加え、個別の作業実績データをもとにスケジュールを作成できること。同じスキルでも人によって得意・不得意があり、それが作業時間に反映される。例えば、「2時間で作業できるAさん」と「2時間30分で作業できるBさん」が作業可能な状態であれば、業務効率と顧客満足度の観点から、Aさんを割り当てる。

 過去の作業実績をディスパッチに反映するには、2週間程度の学習期間を要するが、適用によって大幅な業務の効率化を見込むことができる。とくに、オペレータ、ディスパッチャー、CE合計で100ユーザー以上の企業で効果を発揮するという。さらに、スケジュールは、同時に複数パターン作成できる。「より多くの依頼を完了したい」「休憩時間を多めに確保したい」などの依頼と現場の状況に合うものを選択可能だ。

 作成したスケジュールと現場の状況は、ガントチャート・ビューとマップ・ビューで表示する。CEごとに、移動時間やルート、作業時間など、“当日の動き”を視覚的に把握できる。作業の遅れなどにより、計画通りに進まない可能性のある作業が発生すると、アラートで通知。再割当を実行することで、「約束の時刻に到着できなかった」など、クレームにつながる事態を未然に防ぐ。

日本オラクルの「Oracle Service Cloud」

日本オラクルの「Oracle Service Cloud」。納入製品、顧客情報から、対応可能な日程をカラーで表示する

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鮮度の高い情報をアプリで収集 現場情報を写真で蓄積可能

 セールスフォース・ドットコムも、2016年9月からクラウド型のカスタマーサービス向けCRM「Salesforce Service Cloud」上で、フィールドサービス機能「Salesforce Field Service Lightning」の提供を開始する。オペレータ向けのサービスコンソールと共に、ディスパッチャー向けのディスパッチコンソール、モバイルアプリ「Salesforce1モバイルアプリ」内でCEの入力情報を一元管理する。

 同ソリューションも、受電時にポップアップするCRM情報を受付情報(依頼)に紐付けて、自動でディスパッチする。フィールドサービスでは「受電から2時間以内に到着する」「ベテランのAさんが担当する」などのSLAが結ばれているケースもある。これらの情報をCRMに含めることで、手配したCEにも作業指示として共有できるため、現場でのトラブルに発展しにくい。作業終了報告は、電子サインを用いて現場で作成・送信が可能だ。

 “現場把握”という意味では、モバイルのカメラ機能の活用も有効だ。エンジニアが現場の写真を撮影、コールセンターに送付し一括管理しておけば、製品開発部門、営業部門に「どんな状態で使われているのか」をいつでも伝えられる。現場には、製品の開発、改善のヒントが多数ある。「最近、この製品の特定箇所に破損が多い」といったリコールにつながりそうな情報や、実際の使われ方などの知識は、従来、各エンジニアの個人知にとどまっていた。コールセンターで形式知として蓄積することで、よりスピーディーな対処、改善を期待できる。「結果的に不満コールの減少も見込めます。さらに、経営に貢献する情報の提供によって、センターの部門としての価値も高まるはずです」とセールスフォース・ドットコム マーケティング本部プロダクトマーケティングの畠 慎一郎シニアマネージャーは指摘する。

 なお、サービスコンソールの画面構成は、自在にレイアウト可能。部材リストを表示させるなど、自社業務に適した配置に変更できる。モバイルアプリのUIも、デスクトップPCに連動して自動変更されるため、メンテナンスの手間が少ない。自社ソリューションでコールセンターから現場までカバーできるからこその仕組みと言える。

セールスフォース・ドットコム「Salesforce Field Service Lightning」のディスパッチ画面

セールスフォース・ドットコム「Salesforce Field Service Lightning」のディスパッチ画面。作業時間は黄色、休憩は紺色、移動時間は線で表している

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[2]委託会社の管理

ポータルで進捗共有

 自社で依頼を受け、実際の作業は製品別または地域別に委託会社に任せるケースもある。この場合は、システム自体が分断されていることから、電話やFAXで依頼された内容をメモ用紙やホワイトボードに書き込み、その内容をまたExcelファイルに入力し直すといった手作業による情報伝達が少なくない。結果、伝達/入力漏れによるコミュニケーションの齟齬が起こりやすかった。

 富士通ソーシアルサイエンスラボラトリは、Aptean(旧コンソナ・ジャパン)と共同開発したCRMパッケージ「Onyx」をベースとした「フィールドサービスソリューション」で、委託会社向けの「パートナーポータル」を提供している。

 修理依頼の受け付けから、作業を担当する委託会社(現場担当者)のディスパッチ、作業完了までのステータス管理を実施する。ディスパッチは、対応製品の分類や該当エリア、スキルを条件に、委託会社の候補とスケジュールが表示されるため、最適な割り当てが可能だ。さらに、保守契約管理機能も具備している。保守契約の取りこぼしの防止に努めることで、保守契約率の向上にも貢献する。

 委託会社は、パートナーポータルを通して、依頼の確認や顧客の作業実績の報告、スケジュール変更を行う。いつでも担当エリアの顧客情報や作業履歴、予定が確認できるため、伝達ミスの防止にもつながる。作業完了時の報告も同ポータルに入力することで、コールセンターとのリアルタイムな共有と情報の可視化を実現する。

 なお、「もっと簡易にフィールドサービス機能を利用したい」というニーズがある場合は、同社の親会社である富士通からCRMモバイルソリューション「CRMateモバイル」をコアにしたフィールドサービスソリューションを提案している。

富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ「フィールドサービスソリューション」のディスパッチ画面

富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ「フィールドサービスソリューション」のディスパッチ画面。インシデントの商品分類、エリア情報と業者のスキルに合致する委託会社から候補を選定

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スキルや資格有無で優先度設定 効率的な作業割当をサポート

 パナソニック インフォメーションシステムズが提供する、CRMパッケージ「eSmileCall」のフィールドサービス向けソリューション「eSmileFeSS」は、自社と委託先の情報共有をメールで行う。作業割当が確定すると、自動で該当CEのスマートフォンにメールを送信する。もちろん、CE側から他の委託会社のスケジュールは閲覧できない。

 ディスパッチ画面には、手動による作業を最大限効率化できるよう、「FE(CE)のグループ管理」や、「拠点/スキル別管理」など、ユーザビリティに配慮した機能が組み込まれている。FEのグループ管理は、“スキルが高い”“資格保有者”など、作業割当時に優先して閲覧したい人材をグルーピングする機能だ。グループを選択すると構成メンバーを表示し、個別のスケジュール画面に遷移する。刻一刻と変わる状況のなか、要件に応じた最適な人材をアサインする、といった使い方が可能だ。「拠点管理」は、支社・事業所・拠点の3階層で依頼が発生したエリアの拠点情報の検索、「スキル別管理」は保有スキルと経験年数から検索ができる。

 なお、eSmileFeSSは、「eSmileCall」以外とも連携できる。保守業務に関わるモバイルアプリケーションや分析ツール、在庫管理、発注業務などの基幹システムとも組み合わせ可能だ。こうした柔軟性を訴求し、FE(CE)規模100人以上の委託元企業を中心に提案していくという。

パナソニック インフォメーションシステムズ「eSmileFeSS」のFEグループ管理機能

パナソニック インフォメーションシステムズ「eSmileFeSS」のFEグループ管理機能。作業状況・ディスパッチ画面で優先的に閲覧したいFEをグルーピングできる

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[3]部材調達も管理

日本の商習慣に応える機能

 修理やメンテナンスには、交換する部材を現場に届ける業務も発生する。「あとどのくらいで届くのか」のような問い合わせに即答するには、物流を扱う部門との情報共有も肝要だ。

 1970年から製造業に特化して開発してきたアステアのCRMソリューション「Astea Alliance」は、ディスパッチ機能をコアに、必要な機能をモジュールで追加するもの。コンタクトセンターやモバイル対応に加え、在庫の入出荷管理やロジスティクストランザクション履歴の閲覧、修理状況のトラッキングなどの機能も利用できる。アステア インターナショナルジャパン営業本部の大島 洋本部長は、「人だけが現場に到着しても部材が時間通りにそろわなければ作業は進みません。現場でお客様の怒りを招くことにもなります」と説明する。

 必要な部材、物流拠点の位置などの情報も、自動化エンジン「DSE」によるディスパッチの判断情報となる。アサインと同時に、修理に必要な部材の調達依頼はモバイルを通じて、物流センターの担当者に届く。なお、拡張機能の「カスタマーポータル」から顧客が修理依頼と部品や消耗品の発注をすることも可能だ。

 これまでの14回のバージョンアップで、日本特有の「商習慣」も機能に取り込んだ。例えば、故障した製品の代替品を持参し、持ち帰って修理する際の進捗管理をする「貸し出し機能」。長年使い続けた製品に愛着を持っているユーザーに対し、「いま修理中なのか、発送準備中なのか」を具体的に伝え、“ちゃんと戻ってくる”安心感を与えることができる。

 主に組み立て、産業機器メーカーなど650社に提供している。

図2 アステア「Astea Alliance」の対象領域

図2 アステア「Astea Alliance」の対象領域

変化する消費者の価値観 次世代のトレンドはIoT連携?

 BtoB、BtoCにかかわらず、製品や機器のコモディティ化により、アフターサポートの品質は「使い続けるか、乗り換えるか」の判断材料となっている。ソーシャルメディア上には、「あの企業はサポートが悪いから、もう使わない」といった投稿もある。

 サポートの差別化に向けた次の競争軸となりそうなのはIoT(モノのインターネット)による故障予測だ。販売した製品にセンサーを埋め込み、製品寿命や使用回数、頻度などから、不具合が出やすくなる時期を推測したり、稼働監視で異常な動作をコールセンターに通知するといった機能が普及するのも時間の問題といえる。アウトバウンドで修理や保守の依頼を受けるプロアクティブ対応が、次世代フィールドサービスのトレンドとなりそうだ。

この記事は月刊「コールセンタージャパン」2016年10月号に掲載されました。
掲載内容は発行当時のもので、変更されている場合がありますことをご了承ください。


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