【トレンド】 音声解析ソリューション

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[トレンド]音声解析ソリューション

リスク回避・品質向上・成約獲得
“感情分析”がもたらす音声ログの付加価値

顧客の「ありがとう」は本当に満足を表しているのか──。通話音声に含まれる言語情報だけでなく、非言語情報から心情を察知して、顧客の真の声を探る“感情分析”が注目されはじめている。背景には、ビッグデータ活用、AI技術の進化による認識率向上がある。音声解析がもたらす効果を探る。

 コンタクトセンターに集まる顧客の声をビッグデータと捉えて分析し、知見を得て経営貢献などに活かす。こうしたVOC活動に取り組む企業が多い。音声認識で通話を全文テキスト化し、テキストマイニングで特徴的な声を抽出、活用するところもある。しかし、テキスト情報には会話の温度感や話者の感情の起伏などが表れにくいため、顧客の心境がわからないという指摘もある。例えば「ありがとう」という言葉は、感謝していても、挨拶程度であっても、テキストにすると判然としない。

 「人間はコミュニケーションにおいて、言語情報(テキスト化できる情報)だけでなく、話し方のトーンやスピードなど、いわゆる非言語情報(パラランゲージ)から互いの感情を読み取り、対話しています。音声をテキスト化して分析することは有効ですが、パラランゲージを切り捨てた情報だと理解しておく必要があります」と、ITコンサルタントの堀 雄一氏は指摘する。

 顧客のロイヤルティを把握するには、感情を理解する必要がある。そこで、言語情報・非言語情報を合わせて分析する新しいビッグデータ活用のため、音声解析ソリューションが注目されている。

リアルタイム解析/バッチ処理
オペレーションを改革する

 音声解析の手法はソリューションベンダーによってさまざまだ。多くは、声の大きさや強弱、抑揚、話速、間合い、被りなどを定量的に測定し、独自のアルゴリズムで怒りや満足などの感情を把握(判断)する。どの感情がどのようなパラメータで示されるかは、大量の声のパターンを取り込んで解析していく。進化が目覚ましい機械学習などのAI技術を利用しながら、認識精度を高めている。

 ソリューションの活用方法としては、リアルタイム解析とバッチ処理の2つがある。それぞれで想定される運用方法を示す。

リアルタイムでの活用例

 オペレータと顧客の対話を感情の起伏の観点でモニタ。1通話ごとの応対品質を維持・向上する。

・SVのマネジメント支援
 日々のオペレーションにおいて、SVはオペレータの通話状況に目を配り、問題が発生していそうな場合はモニタリングを行う。従来は、通話時間がしきい値を超えたらモニタリングするケースが多かった。近年は音声認識を使い、NGワードなど特定のキーワードが発声された場合にチェックできるが、いずれにせよ問題が起きてからの対応になる。感情分析を用いれば、顧客が怒りの兆候を表したり、オペレータが不安を感じた場合にアラートをあげ、問題が大きくなる前にサポートできる。

・オペレータの応対支援
 音声だけでコミュニケーションを行うコンタクトセンターにおいて、優秀なオペレータは顧客の感情を読み取りながら対話している。しかし、こうしたスキルは誰もが有しているわけではない。顧客の感情の変化をリアルタイムで可視化できれば、応対の目安となる。

・コンバージョン率の向上
 アウトバウンドでのセールスにおいて顧客が興味を持っているか否かを判断する。関心が高そうなら成約に向けたトークを実施。気持ちが乗っていないなら手短に電話を切る。時間・コストを無駄にせず、顧客にも迷惑をかけないで済む手法だ。インバウンドでのアップ/クロスセルにも活かせる。

バッチ処理での活用例

 蓄積した音声データを分析する際に、テキスト+音声解析で分析すれば、従来では把握できなかった情報を得ることが可能になる。

・VOC分析
 問い合わせの中には、分析する必要のない通話(照会・手続きなどの単純処理系、定型化できている用件)が大量にある。そこで、顧客が怒っている、顧客の発話割合が多い、顧客の言葉がオペレータの言葉に被っているなど、“問題通話”の特徴を持つ音声のみに絞り込んで分析する。

・品質向上(CS向上)
 顧客の満足度が高い音声データを抽出し、その特徴を分析する。ベストプラクティスの発見とノウハウの洗い出しができれば、研修での利用が可能となる。不満足度が高い音声データであれば、会話のどの段階で問題が発生しているかを調べることでスクリプトなどの改善につなげることもできる。

・オペレータ満足の維持
 オペレータの応対品質をモニタリング評価するセンターは多い。現在はランダム抽出によるサンプル評価が主流だが、たまたま悪い応対にあたって評価が下がるなど、公平性に欠けるケースもある。またSVとの人間関係が評価を左右する可能性もある。音声解析による全通話評価であれば定量的・客観的な評価が可能だ。

オペレータのストレスチェック
離職防止にも効果を発揮?!

 感情分析を用いて、“コンタクトセンターの価値”の見える化を追求する団体もある。「コンタクトセンターおもてなしコンソーシアム(COC)」の理事を務めるアビームコンサルティング執行役員プリンシパルの秋山紀郎氏は、「感情分析を活用して、“おもてなし”を定量的・定性的に測定する方法を検討しています。おもてなし度の測定が進むことで、コンタクトセンターの品質向上とともに、働く方々の地位向上を目指します。どのような応対が“おもてなし”を感じるかを明らかにしたい」と強調する。

 また、昨年12月に施行されたストレスチェック義務化法を受けて、「オペレータのストレス診断やメンタルヘルスケアに利用したい」というアウトソーサーもある。日々の電話応対で感情の落ち込みなどを把握し、SVから声がけするなどラインケアに活かす。労働人口の減少が叫ばれる現在、離職防止の手立てとして関心を持たれている。

 感情分析技術は以前からあるが、認識率や正解を判定しづらいなどの問題で普及には至らなかった。近年になり、ビッグデータ活用が注目され、またAI技術が進化していることから、再び脚光を浴びている。課題は「まだ高額」とされがちな導入コストだが、コンタクトセンターに限らずロボット技術との組み合わせなど、広く活用されれば値段もこなれていく可能性が高い。今後、要注目のソリューション分野だ。

※記事出典:月刊「コンピューターテレフォニー」2016年4月号に掲載した記事を再編集して転載しました。
(記事は雑誌掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)


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