【導入・選定ガイド】 コールセンターの“ソリューションさがし”を解説

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導入・選定ガイド

コールセンターの
“ソリューションさがし”を解説

コールセンターの運用には、ITソリューションによる武装化は欠かせない。顧客の用件に対応できるオペレータに接続するためのルーティングをはじめ、顧客のニーズに応えられるナレッジを即座に表示し、用件、声を記録するデータベースなど、さまざまなIT要素を取り入れて現代のコールセンターは成立している。

データに見るIT武装化の現状

 図1は、「コールセンターの導入システム」を運営企業213社に聞いた結果だ。これ以外に、CTI、IVRは概ね60%、音声録音システムに至っては90%以上の運営企業が導入している。

図1 導入しているITソリューション(複数回答あり)

図1 導入しているITソリューション(複数回答あり)

 しかし、ITシステムの機能は日進月歩。もちろん、老朽化もすれば陳腐化もする。ソリューション分野に寄るが、概ね5〜6年周期でリプレースする企業が多く、その都度、マネジメントには「選択」が迫られる。

 図2は、コールセンターを構成するシステムを概念図として記したものだ。音声・チャネルを司るプラットフォームからCRMアプリケーション、FAQなどの業務支援ツール、人材管理システムであるWFM(ワークフォース・マネジメント)、分析システムであるマイニングツールまで、さまざまなソリューションが存在する。現場のマネジメントは、自社センターが果たすべき機能や規模に合わせて、適切な製品/サービスを選択しなくてはならない。

図2 センター・マネジメント・システム概念図(例)

図2 センター・マネジメント・システム概念図(例)

プラットフォームの選定ポイント

 電話対応に欠かせないPBX/ACD(Automatic Call Distribution:自動着信呼分配装置)。これは対応規模と機能、価格がほぼ比例する傾向が強い。

 大きなポイントは、ルーティング機能とレポーティング機能だ。ルーティングとは、顧客(消費者)からの着信を最適なオペレータ(あるいはグループ)に接続する機能で、「ファースト・イン・ファースト・アウト」(着信順に最も待機時間の長いオペレータに振り分ける)が基本だが、接続後のサービスレベル(X秒以内にY%のコールに応答するというサービス基準)を予想したうえでルーティングを最適化する機能、VIP優先など顧客セグメントに応じた振り分け(DBルーティング)や、最後に対応したオペレータに優先的に接続する「ラスト・エージェント接続」など、さまざまなルーティング方式が存在する。

 レポーティングは、サービスレベル達成率、放棄呼、対応時間、後処理時間、オペレータのログイン状況などをリアルタイム/ヒストリカルで確認する機能で、センターマネジメントの生命線といえる機能だ。

 このほか、IVR(Interactive Voice Response)やアウトバウンド・システムなども製品によって機能差はある。問題は、「何を目的としたセンターで何を実践するのか」という原理原則をマネジメントが理解したうえで選択できるか、という点だ。これには将来的な展望も含まれる。例えば、アウトバウンドの場合、「インバウンドの合間に同じオペレータがフォローコールを実践する」というレベルならば、自動発信機能であるプレディクティブ・ダイヤラーの必要性は低い。顧客情報を確認してオペレータが発信するプレビュー・ダイヤリング機能で十分だ。ただし、この場合も架電状況・結果をレポートする機能だけは、チェックできる項目を慎重に検討する必要がある。

 電話以外のチャネル統合機能をどこまで求めるか、は極めて大きな問題だ。「ルーティングもレポーティングも同じプラットフォームで、しかも対応履歴の統合もすべてリアルタイムで実践したい」という場合は、大規模センター向けの統合プラットフォームが必要。しかし、対応履歴はバッチ処理で統合、ルーティングもメールはメール、チャットはチャットとして独立しても構わないという場合は、それぞれをクラウドサービスでまかなうという手段もある。国内の事例の多くはこのパターンだ。ただし、将来的なチャネル活用計画や拡張性は視野に入れて選択しよう。

音声録音装置

 コールセンターの90%以上が導入している音声録音装置。その最大の用途は、「オペレータの教育ツール」としての運用だ。

 録音した音声を検索、抽出してSVやトレーナー、品質管理担当者が聴き起こし、評価するモニタリング。その実践にはこのシステムは欠かせない。従って、最大の選定ポイントは「検索機能」となる。

 日付、時間はもちろん、オペレータID、内線番号などで検索可能か否か。また顧客管理アプリケーションと連携し、その画面上から再生できるカスタマイズが可能な製品も多い。音声認識システムと連動して「言葉」を検索キーにする運用も一部で実践されている。

 もちろんクラウドサービスとしても提供されることも増えている。また、オンプレミス/クラウド問わず、PBXとあわせて提案されるケースが多いため、同システムのみの機能検証を行わないケースも多いが、現場にとっては極めて重要な仕組みである。「何ができるのか、拡張性はあるのか」の確認はすべきだ。

アプリケーションその他の選定ポイント

・CRMアプリケーション/顧客管理システム

 CRMシステムの場合、最大のポイントは、「スクラッチ(手組み)」か「パッケージ」か──の選択だ。

 大規模センターの多くが、「自社業務に適用しにくい」という理由でスクラッチでシステム構築しているが近年、明らかにパッケージ導入率が上がっている。ほとんどのパッケージ製品がカスタマイズ範囲を拡張していることと、クラウド環境下においてもある程度は自社業務に合わせる機能を提供するサービスが登場していることがこの傾向を後押ししている。

 パッケージ/クラウドサービスの選択ポイントはいくつもあるが、主に以下の5点が現場では重視されているようだ。
(1)DB管理機能(自社業務の内容、今後の変化に対応できるか)
(2)業務/業種別のテンプレートの有無
(3)導入期間
(4)導入コスト(中長期的な試算)
(5)ユーザーインタフェース

 とくに(1)、(2)は可能ならば情報システム部門と密接に連携して検討すべきだ。今後、もたらされるであろう(社内外における)変化への対応は、コールセンター部門だけではなかなか判断できない。テンプレートも、用意しているベンダーは増えているが、それがどこまで適用でき、どこまでカスタマイズすべきかの判断はITリテラシーが要求される。

 なお、どうしても目が行きがちな導入コストは、とくにクラウドサービスの利用は中長期的に検証すべきだ。導入コストは飛躍的に低減可能だが、試算では5年程度で逆転するというケースが多いのも事実。しかし、保守やバージョンアップの費用と、とくに「手間」も考える必要がある。また、従量課金なのか否かもきっちり事前に情報を集めよう。

 ユーザーインタフェースは、ほとんどの製品がかなりの範囲、カスタマイズできる。ただし、安価なパブリッククラウドサービスの場合、バージョンアップでインタフェースが変わってしまう可能性もあるので注意しよう。ある程度は割り切ってしまう判断も必要となるだろう。

クラウドかオンプレミスか?

 IT分野を問わず、クラウドサービスの普及は著しい。ミック経済研究所の調べによると、2015年度のクラウド型CRM市場は前年度比17.8%増の1033億円、2020年度には2657億円にまで拡大すると予想している。一方でオンプレミス型市場は縮小傾向が続いているようだ。

 SIやITベンダー各社へのRFP(要求仕様書)にも、クラウドの提案を前提としているケースが増えている。ITは「持つ時代」から「利用する時代」に移行していることは間違いない。

 ただし、ソリューションを選択する際は、適用分野を問わず、利用形態よりも「何が必要で、近い将来、何が必要となるのか」という機能を前提条件とするべきだ。将来的な進化形を見据えたうえで、必要とされる機能を提供できるソリューションを選択し、提供・運用形態はその次──これがITソリューション選定の“あるべき姿”であり、「クラウドかオンプレミスか」を最優先事項に据えるべきではない。

 今後のコールセンターには、他のチャネルや他部門との連携によるダイナミックな情報管理が求められる。そうした際、確かにクラウドサービスはライセンスの追加や管理が容易なため、大きなメリットがあるのは事実だ。

 そうした意味でも、ITソリューション選定の際には、マネジメントが情報システム部門や関連部門とのコミュニケーションをより強化する必要もありそうだ。

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