RightTouch(東京都品川区、長崎大都代表取締役CEO/野村修平代表取締役CCO)は、ユーザー・パートナー企業向けイベント「Thanks Day2026」を開催した。3回目となる今回は、AIによってカスタマーサポートを取り巻く環境も大きく変わり続けるなか、まだ輪郭の見えない未来をユーザー企業との対話を通して、少しずつクリアにしていきたいという思いを込め、「Clear」をコンセプト に据えた。同社の製品 の利用状況や新たな取り組みを紹介するとともに、ユーザー企業によるセッションを実施。顧客接点の高度化に向けた取り組みや今後の展望を語った。
オープニングは、代表取締役CCOの野村修平氏が登壇し、同社の事業状況を説明した。Web上の顧客行動から問い合わせにつながる課題を検知する『QANT Web』では、直近1年間で約26億件の「顧客の困りごと(ペイン)」を検知。2025年と比較して約5倍に増加したことを明らかにした。また、顧客を自己解決に誘導する「サポートアクション」の表示回数は1日約20万回で、サービスの利用アカウント数は3年前の8.6倍となる約8000に達したことを紹介した。
野村氏は「顧客体験を向上する上では、ペインをいかに可視化し、捉えられるかが重要」と説明。AIオペレータやナレッジ管理、VOC分析、Webエージェントなど、これまでの製品・機能の開発についても振り返り、「ユーザーの皆様が積極的に新しい取り組みに挑戦し、一緒にプロダクトを作っていただいている」と、謝意を示した。
続くユーザーセッションでは、三越伊勢丹 営業本部 オンラインストアグループ デジタルベース運営部 コンタクトセンター担当 マネージャーの葛和弘士氏、T&Dフィナンシャル生命保険 コンタクトセンター部 東京コンタクトセンター課長代理(企画戦略担当)の田浦利明氏と、それぞれの顧客担当である RightTouchのCustomer Growth Partnerが登壇。両社が顧客の自己解決支援を起点に、VOC分析やAI活用へと取り組みを拡大してきた経緯や、導入成果、運用上の課題を紹介した。
T&Dフィナンシャル生命保険は、市況の変動によって問い合わせが急増する課題に対し、QANT Webを導入。その後、VOC分析基盤『QANT VoC』、AIオペレータ『QANT スピーク』、社内ナレッジ統合基盤『QANT ナレッジハブ』へと導入・活用を拡大してきた。現在は、2028年に見込まれる保険契約の満期に伴う呼量の集中に備え、AIオペレータによる応対自動化を推進。一般的な問い合わせへの対応から段階的に適用範囲を広げ、顧客情報と連携して個別の契約内容にも回答できる仕組みの構築と、回答精度の向上に取り組んでいる。田浦氏は「用件は同じでも、お客様によって“言い方”はさまざま」と述べ、顧客の真のニーズを把握する難しさや、自由度の高いAI対話を適切に制御する必要性を説明した。
三越伊勢丹は、ECサイトにおける顧客の自己解決支援について紹介した。同社ではQANT Webを活用し、季節性の高い問い合わせに応じた案内を表示することで、お歳暮の配送に関する問い合わせを前年比で3割以上削減。他、おせちの配送当日に集中する問い合わせは「半分以下」に減少したという。葛和氏は、「サイト改修では2~3カ月かかるところを、手軽にすぐできる」と運用面の利点を説明。今後はVOCやWeb上の行動データを活用し、顧客1人ひとりに合わせたサポートを目指す考えを示した。
2つめのセッションは、SBI証券 カスタマーサクセス推進部管掌 兼 CS戦略室長 上席部長の河田裕司氏とRightTouchの野村氏が、問い合わせの複雑化を背景としたコンタクトセンター運営の見直しについて意見を交わした。SBI証券は、従来のマルチスキル型の運営から、IVRを細分化して専門性の高いオペレータにつなぐ体制へと変更。転送件数は増加したものの、オペレータの離職減少や研修期間の短縮、顧客のつながりやすさの改善につながった経緯を説明した。また、顧客対応部門とWebコンテンツ部門を統合し、顧客接点全体の改善を推進していることにも言及。河田氏は、「AI時代には顧客の背景を深く理解するための『質問力』がオペレータに求められる」と指摘。今後のAI活用で効率化して浮いた余力で、サポートの品質を上げていく意向を示した。このほか、顧客とオペレータを適切にマッチングする仕組みなど、AIと有人対応を組み合わせたCX向上への展望を語った。