米・Cresta(カリフォルニア州、Ping Wu CEO)は、日本法人「Cresta AI合同会社」を設立し、日本市場での事業を開始した。今回の日本法人設立に伴って実施したメディアブリーフィングでは、APACゼネラルマネージャーのAndrew Cannington(アンドリュー・キャニントン)氏と、日本市場を率いるVP兼カントリーマネージャーの田村 元氏が事業戦略を説明した。

APACゼネラルマネージャーのAndrew Cannington氏
Crestaは、AIエージェントによる顧客応対の「自動化」、オペレータへのリアルタイムな「支援」、顧客との会話の「分析」を統合したCX AIプラットフォームを提供する。2017年に米スタンフォード大学のAI研究所を起点に設立された企業。累計調達額は約3億ドル、ユナイテッド航空、マリオット、アラスカ航空などの大手企業への導入実績を持つ。

APACゼネラルマネージャーのアンドリュー・キャニントン氏は、「CX改善には、自動化機能の提供だけでは不十分」と指摘。応対の自動化だけでなく、問い合わせの発生原因の分析や有人対応の支援も必要なことを示した。
具体的には、顧客との会話を、業務プロセスの不備などに起因する「発生する前に解決すべき会話」、定型的な問い合わせなど「AIエージェントによって自動化できる会話」、複雑な相談や感情的な配慮を要する「人の感情を動かす価値の高い会話」、顧客への能動的な働きかけなど「本来あるべきだが、まだ生まれていない会話」の4つに分類。問い合わせの発生原因を分析して不要な会話を減らしていくとともに、AIエージェントが定型的な問い合わせ対応を自動化し、自動化できない複雑な問い合わせに対応するオペレータをリアルタイムで支援。さらに、人とAIが対応したすべての顧客との会話を分析し、得られた知見をAIエージェントと有人対応の双方にフィードバックすることで、応対品質と自動化の精度向上のサイクルを回す考えを示した。


近年、AIや会話インテリジェンス機能の拡充が進むCCaaS(Contact Center as a Service)との違いについて、キャニントン氏は「当社はCCaaSプラットフォームを持たず、他社のプラットフォームと直接連携する形でサービスを提供しています」と説明。AI領域に特化した専業ベンダーとして、既存のPBX環境に、AIによる応対自動化や有人支援、会話分析の機能を導入できる点を特徴として挙げた。
日本市場への参入について、キャニントン氏は、日本のベンチャーキャピタルであるWiLが同社に出資していることに触れ、「日本は創業当初からCrestaにとって戦略的に重要な市場」と説明。日本の顧客サービスの品質水準の高さに加え、人手不足や採用難、熟練者の技能継承、カスタマーハラスメント対策などの課題を挙げ、「AIによる自動化と有人支援の両立」の需要に期待を示した。
日本におけるビジネス展開をリードする田村氏によると、すでに国内の大手BPO企業や大手eコマース企業などと取り組みを進めており、今後は金融・保険、通信、旅行・航空、小売などを中心に顧客基盤の拡大を図る。直販に加え、パートナーとの協業も進める方針だ。田村氏は、「AIは人の可能性を奪うものではなく、広げるためのものであるべきです」と述べ、オペレータが新たなスキルを身につけ、より高度な顧客対応を担える環境づくりを支援する考えを示した。