コラム
第40回
年度が変わると、新しい担当者として取引先にご挨拶に伺うなど他社を訪問する機会も多く出てきます。他社を訪問する際は「10分前に到着」。社会人になったばかりの頃、そのように教わった方も多いのではないでしょうか。もちろん、遅刻は論外です。しかし、だからといって約束の10分前に受付へ行くことが、本当に相手への配慮になるのでしょうか。
15時にアポイントがあるとすれば、先方は14時59分まで別の仕事をしているかもしれません。書類をまとめたり、電話対応を終わらせたり、「15時になったら迎えられるように」と準備をしているのです。そこへ10分前に受付から「お客様がお見えです」と連絡が入れば「え、もう来たのか」と、先方は予定を切り上げざるを得ません。「時間を守る」とは、自分が遅れないことだけではありません。「相手の時間を尊重すること」も大切なのです。
また花粉が舞う時期や雨期にコートを着ているときは、必ず先方の会社の建物に入る前に脱ぐ必要があります。そしてその脱ぎ方、たたみ方は「中表」です。「中表」とは、コートの外側が内側にくるように包み込むようにたたむことです。その理由は、自分のコートをきれいに見せるためではありません。外についた花粉や雨のしずくを室内へ持ち込まないためです。「あなたの会社を汚しません。」そんな無言のメッセージが、中表という所作には込められています。