婚活業界のリーディングカンパニーであるIBJ(東京都新宿区、土谷健次郎代表取締役社長)は、約4800社の加盟店から寄せられる問い合わせ対応業務にAIを導入した。
1件あたりの対応時間を約5分から約3分へと短縮、対応工数は約40%削減されるなどの効果とともに、「スタッフの心理的負荷の軽減」も見られたとされる。なお、AIソリューションの開発・提供はエスタイル(東京都渋谷区、宮原智将代表取締役社長)が担当した。
IBJは結婚相談所プラットフォーム事業を中心に、マッチングアプリや婚活パーティーの提供、さらにウェディング・保険・住まいといったライフデザイン領域に事業を拡大。2025年12月期の連結売上高は201億7200万円と過去最高を更新している。
こうした事業成長に伴い、加盟店からの問い合わせ件数も継続的に増加。対応は限られた人員で行われており、スタッフの業務負荷は高い水準にあった。また、配慮を要するデリケートな問い合わせへの対応がスタッフの心理的負担にもなっており、業務効率化は急務の課題となっていた。
課題解決に向け、IBJはAIソリューションベンダーのエスタイルを開発パートナーに選定。選定の決め手となったのは、PoCや見積もりなど具体的かつスピーディーな提案姿勢に加え、AI導入にとどまらず「社内エンジニアの知見・技術力向上につながるパートナー」になる得るという評価だった。意思決定から開発開始まではわずか2週間。プロジェクト全体の完了までも約2カ月という短期間で実現した。
導入したのは、エスタイルの「Spindle AI」を活用したセミオーダーメイド型のAI開発ソリューションだ。IBJが既存の加盟店向け業務システムに使用しているチャット機能に、「AIで返信案を作成する」ボタンを組み込む形で実装された。このボタンを押すと、過去のQ&A、マニュアル、利用規約などを参照し、AI生成の返信文面案が自動的に提示される。API連携によって別途開発したAIシステムを業務システムと統合したことで、スタッフは普段使い慣れた画面の中で作業を完結できている。
開発においては、現場スタッフに実際にシステムを使用させ、回答のトーンや表現についてフィードバックを収集。そのフィードバックをもとに細かなチューニングを繰り返すことで、精度を高めた。
AI導入後、問い合わせ1件あたりの対応時間は従来の約5分から約3分へ短縮され、対応工数は約40%削減。担当スタッフからは「返信スピードが上がった」「文章を考えるストレスが減った」といった声も上がっており、心理的負荷の軽減が現場レベルで実感されている。
効果は業務効率化だけにとどまらない。スタッフ同士の会話が増えてチームの雰囲気が改善されたほか、生じた余白時間を加盟店向け研修などの新たな施策に充てられている。また、新任スタッフがAIを活用しながら業務知識を習得できるようになるなど、組織全体の生産性向上にも寄与している。