
コールセンターの採用市場は依然として厳しい状況が続いている。2026年1月〜3月に編集部が実施した採用時給調査では、全国平均が1533円と、前年から22円上昇した。地域別では関東が1663円と引き続き最高水準を維持し、近畿や北海道でも上昇が目立つ。一方で、AI活用が急速に進展し、センター業務そのものも変化しつつある。人手不足への対症療法として賃金を引き上げる時代から、高度化する業務を担う人材を戦略的に獲得・育成する時代へ──2026年はまさにその転換点にある。
編集部は2026年1月〜3月、一般公開されている求人情報をもとに採用時時給(以下、時給)および採用時月給(以下、月給)を調査した。
全国の平均時給は1533円となり、2025年の1511円から22円上昇した(図1)。過去の推移を見ると、上昇の一途をたどっていることがわかり、コールセンター業界が慢性的な人材不足に直面していることは明白だ。

地域別では関東が1663円と全国最高を維持した。求人数も1025件と全体の約4割を占めており、首都圏での採用競争の激しさがうかがえる(図2)。

人手不足と採用難が続くなか、多くの企業は「応募が集まらないから時給を上げる」という発想に陥りがちだ。しかし、今後のコールセンター運営に求められるのは、より戦略的な人材投資である。賃金を単なる採用コストではなく、人材投資として位置付け、高い専門性を持つ人材に高い報酬を支払うことが、サービス品質向上や顧客満足度向上につながり、結果的に企業価値を高める。
人材投資の一環で、AIの積極的な活用も進めたい。業務支援にAIを活用し、オペレータが顧客対応に集中できる環境を整備することも重要だ。応対記録作成や情報検索といった付帯業務をAIが支援することで、業務負荷を軽減し、働きやすさを高められる。
AIは人材を不要にする技術ではなく、人材に求められる能力を変える技術といえる。今後、オペレータの業務は高度化し、顧客体験や問題解決能力が競争力の源泉となる。「採用難だから仕方なく時給を上げる」のではなく、「高度な顧客体験を実現できる人材を獲得するために、高い労働条件を提示する」といった発想への転換が必要だ。
今後、コールセンターは「人数」よりも「人材の質」が重要になる。どのような質を求め、どう教育するか、AIと協働する次世代コンタクトセンターの構築に向け、戦略的な人材確保が必要だ。