Algoage(東京都文京区、横山勇輝代表取締役)は5月21日、企業のカスタマーサポート(CS)部門向けAIサービス『SureSide』の提供を開始した。同社はDMMグループのCS現場に深く関わりながらAI開発を手がけてきた企業だ。
CS領域でのAI導入は、PoC段階にとどまり、本番運用・成果創出まで至らないケースが多いとされる。その背景には、マニュアルやFAQといったナレッジが業務ごとに分散していること、AIに業務を理解させる設計が不十分なこと、導入後の運用・改善プロセスが整備されていないことが挙げられる。横山氏は「人がAIの設定・メンテナンスに追われてしまう構造自体を解消することが重要だと考えた」と開発の経緯を語る。

Algoage代表取締役の横山勇輝氏
こうした課題を踏まえ、同社はナレッジ整備を出発点とするAI活用モデルを軸に本サービスを開発した。DMMのCS部において2年以上にわたる実証を経ており、本番運用のなかで業務効率化やAIの育成コスト削減の成果を積み上げた知見を製品に落とし込んでいる。
『SureSide』の核となる設計は、マニュアル・FAQ・対応履歴などを共通のナレッジ基盤に一元集約し、オペレータ支援・テキスト応対・音声応対のすべてのAIが同じ情報を参照しながら動作する点にある。まずはオペレータ支援からAIを現場に定着させ、ナレッジが蓄積されるにつれて自動応対へと対応範囲を広げていく段階的な展開を想定している。

機能面では、対応中の画面や会話の流れに応じて必要な情報をリアルタイムで自動表示する。ブラウザ拡張ベースの実装のため、既存の業務フローを変えずに導入できる。通話終了後はAIが内容を業務フォーマットに沿って整理・要約し、オペレータの承認を経てCRMへの入力まで完結することで、後処理時間(ACW)の削減を図る。さらに、日々の問い合わせログをもとにAIが改善点を自動提案し、ナレッジが継続的に更新・拡充される仕組みを備える。

DMMのCS部での実績として、平均対応時間(AHT)が約3割削減されたほか、過半数のオペレータがベテランと同等水準の対応速度に達したことが報告されている。また、AIがナレッジを参照した問い合わせほど対応時間の短縮傾向が顕著という。横山氏は「ナレッジを中心に据えることで、AIが人を助ける構造を現場から築いていける」と話す。
同社は2018年に東京大学で機械学習を研究していたメンバーにより創業し、2020年にDMMグループに参画。現在はカスタマーサポートAI事業を中心に、研修事業、チャットマーケティング事業、生成AI事業を展開している。今後はナレッジを中心に据えたAI活用基盤の構築を推進し、段階的に業務自動化の支援を拡大していく方針だ。