直近のCS関連ニュースのなかから、興味・関心を惹いたものを独自にピックアップする「CS News Watch」。今回は、「動画を活用したFAQ構築」について取り上げます。
FAQ構築・管理は、コールセンターの重要な役割のひとつだ。「コールセンター白書2025」に収録した「国内コールセンター実態調査」では、Webサイト上のFAQについて「コールセンターがすべて作成、運用している」が53%、「Web担当部門など他部門が作成しているがコールセンターの意見は反映されている」が41%で、「関与していない」はわずか3%にとどまっている。

課題は今も昔も「解決力」だが、これは改善が難しい。同じく「白書」のコールセンター利用者調査では、約7割の回答者が「コールセンターに電話する前にホームページの『よくある質問集』を見た」と回答している。言い換えれば、この7割はここで解決できていれば電話をかける手間(エフォート)を強いられる必要はなく、企業側も呼量削減できたということだ。

そうしたなか、生成AIを活用してFAQの精度を向上する取り組みが始まっている。過去の対応ログをもとにQ&Aを自動作成する、社内のマニュアルなどを読み込ませてわかりやすい言葉でリアクションするなど、具体的な方法はさまざまだが、まだあまり試されていない(事例として取り上げられていない)のが「動画との組み合わせ」だ。
例えば、直近のニュースだがMavericksがリリースした「画面録画するだけでAIがマニュアルを自動生成するサービス」がこちらだ。PC上の業務操作を録画するだけでAIが操作手順を自動解析し、スクリーンショットをつけたステップ・バイ・ステップのマニュアルを自動作成する。
もちろん、この逆パターンで、テキストデータをもとに動画作成する機能を提供するクラウドサービスも、アドビの「FireFly」など多数存在する。より簡単なものならば、GoogleのNotebookLMやGeminiでも作成可能だ。
従来もテクニカルサポートを中心に動画FAQを利用するメーカー(バッファローなど)は多いが、ほとんどはカメラで実際の操作を撮影、編集するなど、大きな手間を要していた。それがAIに指示、あるいはPC上での操作を録画するだけで簡単にFAQが作成できる。生成AIのマルチモーダルがここでも利用できる環境になりつつある。
動画作成は、生成AIがより身近なものとした機能のひとつだ。その割には、まだコールセンターなどのCS部門での活用事例が少ない印象は否めない。とくにアドビやGoogleといった、すでに利用している(アカウントを持っている)AIサービスの活用は、例えば中堅中小企業のカスタマーサクセス部門におけるテックタッチにも利用できる可能性は高い。
生成AIの活用は、これまでのように情報システム部門やITベンダーからの情報や提案を待つという受け身体質では進化が遅れる可能性が高い。情報セキュリティ対策を施してからという条件はつくが、「試せるものは現場で試してみる」というより能動的なアクションが求められ、動画利用はそのひとつにうってつけのコンテンツといえそうだ。(矢島)