座談会 <SV覆面座談会>
運営のカナメであるSVたちのホンネを聞くべく、覆面座談会を開催した。変化を拒むベテランオペレータへの指導、言い方一つでリスクになる時代のフィードバック、そして上司から降ってくる曖昧な指示──。匿名だからこそ語れた「悩みどころ」から、SVの仕事の実態に迫る。
<出席者>(順不同)





<モデレータ> コールセンタージャパン編集部
──今回は、現役のSV5名に集まっていただきました。匿名だからこそ言える“本音”も交えながら伺います。まずは自己紹介をお願いします。
TY アウトソーサーで、動画配信サービスのカスタマーサポートを担当しています。SV歴は3年ほどです。
SF インハウスで流通・小売のカスタマーセンターを運営しています。SVとしてこの業界に入り、2年半ほど勤務しています。
MH アウトソーサーとして企業から受託している窓口を担当しています。SV歴は3年程度です。
TS アウトソーサー側で、BtoCのアウトバウンド獲得を見ています。SV歴は2〜3年。コールセンター歴は8年で4社目です。
HT アウトソーサーで、案件の立ち上げや人手不足の現場にヘルプで入ることが多いです。コールセンター歴は15年、SV歴は10年ですが、育休などを挟んでいるので実質6年ほどですね。
──まずは、お仕事の実態から聞いていきます。日々の応対で何に時間を取られていますか。
TY 一番はエスカレーション対応です。新人オペレータの手上げが多く、そこに難易度が高い案件も混じるので、想定以上に時間を取られています。もう1つは音声評価です。音声をダウンロードして聞き、手作業で評価しているため、1カ月の稼働のうち5割ぐらいを占める時もあります。結果、クライアントから「改善に生かしたいから集めてほしい」と要望が強く、私としてもやりたい気持ちはあるのに、集計や共有の仕組みが整っていなくてVOC収集が後回しになっています。
SF 私のところは関連部署への確認ですね。問い合わせが多岐にわたるので、社内チャットで確認する案件が3〜4割あり、その確認をSVが巻き取っています。オペレータはお客様対応に集中してもらうことで、現場の処理は回っているのですが、SVの仕事が膨らんでいる状況です。また、確認先の関連部署がお客様対応への熱量が低くレスポンスが遅いことがあり、“待ち”が発生してしまうのが悩ましいです。
──センター内の工夫だけでは解決が難しい問題ですね。他の皆さまはいかがですか。
MH 私も手上げ対応が課題です。新人だけでなく、中堅・ベテランからも迷いがあるとすぐ手が上がります。助けたい気持ちはあるのですが、SV側の余白がなくなってしまって、育成に手が回しにくいのがジレンマです。
TS 管理者1名体制の日が多いことに加え、オペレータ業務も兼務で“プレイングマネージャー”として動いていることもあり、運用の根本改善を考える時間が取れていません。新しいセンターで、まだ運用が固まり切っていない過渡期だと思って踏ん張っています。
HT 私はメイン業務を持たない遊軍的な立場ということもあって、業務構築の占める割合が大きいです。研修、導線、品質管理に席配置──全部が同時進行で、実は今日も「20人入社」で整備に追われています。その結果、コロナ対策で購入した透明なパーティションを捨てたいのですが、手をつけられていないです(笑)。汚くなっているし場所も取るのに「捨てるのに、お金がかかるから……」で止まっています。
SF それ、うちも残っています。ただ、オペレータは、区切りがあったほうが落ち着くのか“あったほうがいい派”が多いですね。とはいえ、HTさんのおっしゃる通り、手垢が目立つなど汚いので、捨てたいとは思っています。
──SVの「時間」の多くはオペレータの応対支援だけでなく、関連部署への確認やリソース不足による兼務など、多くの業務に費やされていることがわかりました。次は、「SVを続けたいか」「ステップアップしたいか」、または「転職を考えているか」と、その理由をお答えください。
TY 私は、あまり気にしない性格なのかもしれませんが、給与に対する不満は少ないです。今の会社でマネージャー、ゆくゆくは管理職を目指したいと思っています。SVだと自分で動かせる範囲が限られるので、ユニットや部の単位で成果を出したい。今は、その準備として、小さな改善を仕組み化して広げることにチャレンジしています。
MH 私も次期マネージャーを目指して、収支管理などを勉強中で、上長から指導も受けています。ただ、給料は正直、業務量に見合っていないと毎月感じています。「やることが増えるのに手当は増えない」という感覚はありますね。
HT 私は、子育て中で時短勤務のため、キャリアアップはいったん棚上げ。子ども優先で今の働き方を続けたいです。でも、最近業務でSNS上の声を収集・分析するソーシャルリスニングをやり始めて面白いなと感じています。電話とSNSって発信する“場所”が違うだけで、言いたいことは近い。それをまとめて改善提案につなげられるよう、知識を付けたいです。
SF 給与に不満はないですが、インハウスで他部署と同じ制度なので、コールセンターの相場と比べる機会が少ないのもあります。キャリアは室長や部長を目指したいし、将来は別部署に行く可能性も含め、前向きに考えています。
TS 子どもがまだ小さいので、キャリアも給与も上げていきたいです。子どもが外食好きで、それが続くと家計が大変で(笑)。子どもの誕生日が近くなると、欲しいものの価格にヒヤッとします。もっと(給与が)あると助かるというのが本音です。一方で、自分は不得意も多いので、センター内に数年後に相談できる仲間が増えている状態も作りたいですね。
──今度は、オペレータとの関係について聞いていきます。最近はパワハラなどに敏感なこともあり、指導の難しさも出ていますよね。対応に苦慮するオペレータはいますか。
TY とくにベテランで「前のセンターではこうだった」と、ご自身が変化することを拒む人とのコミュニケーションには苦労しています。例えば、返金対応で、規約上は返金しない方針なのに「寄り添いなら返金すべき」と言われます。こういう場合、会社としての方針と規約の話をしても納得はしてくれません。結果、平行線で2〜3回同じ話が発生すると、「(このセンターは)私には合わない」と辞めていく方もいます。
TS ネガティブなものの見方を持ち込む方は、周りを巻き込む傾向にあります。私のセンターでは、架電による獲得業務はスクリプト遵守を重視しているのに、「すぐクロージングしたい」と反発する人がいます。放置すると、ネガティブな人同士が結束して、「管理者が悪い」みたいな構図ができてしまう。こういう場合は、面談で記録を残し、改善が見えなければ契約満了のタイミングで終了する判断をしています。もちろん、面談を通して、変わる兆候が見られた人のサポートには尽力します。
SF こうした時、毎回SVとオペレータの組み合わせを変えて月1回30分の1on1を必ず実施しています。「1on1を3カ月ほど回しても改善が見られない」を1つの線引きとしています。
──人手不足の中で、辞めてもらう判断をするのも怖いと思いますが、そのあたりは割り切りが必要ということですね。
SF 人手不足だと悩みますが、チーム全体の生産性や雰囲気を考えると、線引きは必要だと思います。
──面談では、どのように指導しているのですか。
MH 改善提案に対し「やりたくない」と拒否反応を示されることもあります。1on1で改善の意義を説明し、私だけでなく他のSVにも1on1で本人に伝えてもらうようにしています。ただ、表向きは「分かりました」と言っていても、内心はわだかまりが残っているだろうなと感じることがあります。ベテランに多いですね。
TY 基本的なことですが、指導時は「オープンな場所で指摘しない」「褒める時はみんなの前で褒める」というのは(センターとして)徹底しています。年齢や性別など、ハラスメントに少しでもつながりそうな話題は避け、業務に絞る。そこはかなり細心の注意を払っています。
SF 指導の仕方としては、結局“言うべきことを言わない”のが一番もったいないので、結論を先に伝えつつ、気持ちは聞くようにしています。
HT 私には「自分のチームのオペレータに伝えてほしい」と、言いにくい指摘が集まります。例えば、新人の男の子がトイレを水浸しにするとか……。オブラートに包みすぎると伝わらないので、率直に言います。「トイレ、びしゃびしゃにしてないよね?」と確認して、「そうだよね、これからも綺麗に使ってね」で終わらせる。これで改善されることは多いです。
──前向きな言い方なのですね。HTさんのキャラクターも相まって、周りのSVさんから頼られていそうですね。では、自分をマネジメントしている上司に対して「がっかりする瞬間」「こうすればいいのに」と思うことはありますか。
HT 面と向かって言うことはなく細かいことですが、差し入れで“パウンドケーキ1本”を持ってくる上司、やめてほしいです。“誰が切って配るのよ”と。たぶん受け取った後、どう食べるかまでは、考えていないんですよね。
SF 業務中では、判断してほしい場面で「よく分からないから任せるよ」と責任を丸投げされるとしんどいです。(上司なので)言葉は選びますが、「判断はしてください」と伝えますし、権限を渡してほしいとも言ったことがあります。
TS 「自分本位」の言動が続くと嫌になります。ただ、怒っても誰も得はしないので、第三者に相談して味方を増やします。キャリアについて話した時の「自分を助けてくれる仲間を増やしたい」というのも、そういう意味が含まれます。
TY 現場感覚と乖離した指示が出ると不満は出ます。現場があって管理があるはずなので、順序が逆になる指示はつらいですね。
MH 状況を把握していないのにスケジュールを崩す指示を出されると困ります。意見を出しても強硬に「やれ」と言われて、従うしかないこともあります。自分が上に立つなら同じことはしないようにしたいです。
──手上げ対応に追われ、時にプレイヤーも兼ねる。そのうえ、言い方や関係性にも気を配りながら現場を回しているのがSVの現実でした。