BCP、雇用確保、コスト削減など、企業の地方進出の目的はさまざまある。しかし、採用難が厳しさを増す現在、雇用確保はもっとも大きな理由となっている。自治体も企業の期待に応えるべく、雇用促進に関する施策に注力する。進出企業がとくに注視しているのが、都市再開発により新設されたビルへの移転だ。雇用条件や就業環境を整え、新たな人材確保に努めている。
コールセンタージャパン編集部は2024年8月、地方自治体の企業誘致担当に、コールセンター誘致に関する調査を実施。19道県157市から回答を得た。
集積地として人気の高い福岡県福岡市、宮城県仙台市では、市中心部のオフィスビルの建て替えが進む。既存のコールセンターは人材の確保を目的に、より利便性の高い場所へ移転する動きが活発化しているという。
2040年まで人口増が続くと試算する福岡市。オープニングスタッフは問題なく集まる実績はあるものの、これまでのような雇用条件や労働環境では、人材の確保は難しいとの見方を示す。市担当者は、「業務に見合った給与や福利厚生を用意してこそ、人が集まる。地方都市の水準ではなく、首都圏と同水準で採用することがポイント。市民もこうした条件には非常に敏感」と述べる。
今年3月、北陸新幹線が開通した福井県福井市。新幹線開業により、首都圏とのアクセスが格段に向上した影響から、問い合わせが増加したと感じている。同市では新幹線開業に備えて、オフィスや商業ビルの再開発が進む。参考価格だが、2024年に完成したビルの賃料は、月額約1万4000円/坪となっている。
コールセンターの地方拠点一覧(2024年8月現在)