「コンタクトセンター市場では、今後さらにデータ活用やCX(顧客体験)への関心が高まるでしょう」。そう語るのが、英国Berkshireに本社を置くContent GuruのGlobal CEO、Sean Taylor氏だ。クラウド型コンタクトセンターシステム「storm」およびAIツール「brain」を主力製品として展開する同社は、CX向上に重点を置いたIT活用を訴求。日本市場においては楽天コミュニケーションズとの協業など、パートナーシップ体制をベースとした独自の販売戦略を打ち出している。
Content Guru Global CEOのSean Taylor氏
──国内コンタクトセンターのクラウドシフトはどの段階にあると捉えていますか。
Sean Taylor 米国や英国と比較すると、日本は保守的な傾向が強く、2024年時点でもオンプレミス環境を優先する企業がまだあると感じています。とはいえ、AIの台頭によって、データ活用やCX(顧客体験)を重視するトレンドは高まるとみており、それに伴って国内のクラウドベンダー市場も大きく変貌する可能性が高いです。
──クラウド型コンタクトセンターシステム「storm」の差別化ポイントを教えてください。
Sean Taylor とくに高く評価されているポイントは、①Availability(高可用性)、②Scalability(大規模対応可能性)、③Customer Satisfaction(顧客満足度向上)です。①Availabilityについては、ミッションクリティカルなサービスに耐え得る信頼性を有しており、英国の救急コールセンターに採用されています。②Scalabilityについては、コロナ禍に英国国内のPCR検査対応コールセンターで2万席規模の運用実績があり、大規模運用が可能です。③Customer Satisfactionに関しては、公共料金対応や公的機関、リテール事業、金融機関など幅広い顧客対応窓口に採用され、いずれも高い評価を得ています。
──AI活用支援についてお聞かせください。
Sean Taylor AIツールキット「brain」を提供していますが、音声解析や感情解析、テキスト生成など、応対業務を効率化する目的でのAI活用を訴求しています。また、応対後にAIからリアルタイムでフィードバックを得ることも可能で、CS向上にも寄与します。
──日本国内での販売戦略について教えてください。
Sean Taylor 直販体制を取らず、パートナー経由でのシェア拡大を目指しています。「storm」は、柔軟な連携を強みに、Google、Microsoft、IBMなど、複数のブロバイダ―から最適な環境を選択して提供できる体制を敷いております。日本でも、楽天コミュニケーションズをはじめ、パートナーシップ制度をベースとした販売体制を構築します。
──CX向上やデータ活用に踏み込んだソリューションの提案は、クライアントのビジネスを深く理解しておくことが不可欠です。販売パートナーの提案力を高める支援はどのように行っていますか。
Sean Taylor パートナー企業に対してトレーニングプログラムの充実を図っていく必要があると考えています。パートナーシップ体制の一環として、注目を集める生成AI連携をはじめ、さまざまな情報を共有し、より具体的な課題解決を提案できるようサポートしていきたいです。