Part.1 <提言>
「オペレータの世話役」だけではない!
令和のリーダーが背負う3つのミッション
SV/リーダーの役割が変わりつつある。従来、オペレータのフォローや指導が主な役割だったが、今後はオペレータが快適に仕事できるようなデジタル化──DXを推進したり、チャットボットやFAQのメンテナンスも担うことになる。また、「Z世代」との向き合い方を考え、経営貢献施策もリードしなくてはならない。次世代のSV/リーダーに求められる資質とスキルについて、専門家に聞いた。
労働力不足が深刻化するいま、「働きやすい職場」を作るための取り組みは変わってきている。SVも、従来のような「オペレータの指導や世話役」というだけでは、リーダーとしての役割は果たせない。今後、AI活用が進むことで、「DX推進」「次世代型人材育成」「価値の可視化」が、SV/リーダーの主な役割、ミッションになる(図1)。
まず、DX推進について、顧客体験とオペレーションに精通しているSV/リーダーの知見を大いに生かせる。顧客が何に困り、どう解決すれば満足するか──SV/リーダーはオペレーションを通じてよく熟知している。これを、エフォートレスなサービスの構築に生かしたい。また、オペレータ経験を持つSV/リーダーは、どのような仕組みや環境があれば働きやすくなるかもよく知っている。ナレッジシステムやeラーニングツールなど、オペレータを支援する仕組みづくりに、その経験を生かしたい。
組織マネジメントの観点では、世代の入れ替わりと新たな価値観への対応も必要だ。例えば、Z世代が求める働き方や職場環境に応えるために、丁寧なコミュニケーションをベースとしたマネジメントを実践する必要がある。
加えて、SVやリーダーの正社員化が進む今、VOC活用や顧客ロイヤルティの醸成などの経営貢献──コンタクトセンターの価値を可視化する役割も担わなければならない。これにより、コンタクトセンターに対する社内の評価が上がり、評価される組織となる。
SV/リーダーは、困っている顧客やオペレータが目の前にいる立場で常に忙しいが、ときに立ち止まって課題を検証し、新たな知識を収集する時間が必要だ。それが本人の強みとなり、次のステージへとステップアップする足掛かりになるはずだ。
Part.2 <ロールモデル検証>
リーダー・オブ・ザ・イヤー8名に見る
「優れたSV」に共通するスキルと資質
顧客やクライアント(BPOベンダーの場合)から高評価を得るセンターには、必ず優秀なSVやリーダーが存在する。その条件は、「プレイヤーとしての優秀さ」「寄り添い、傾聴する能力」「高いITリテラシー」など多岐にわた る。編集部主催「コンタクトセンター・アワード2023」の個人賞受賞者8名の紹介とともに、「共通する要素」を検証する。
「オペレータが働きやすい環境作り」とは、休憩室などのインフラや設備、柔軟なシフトなどの人事制度のみに依存するわけではない。むしろ、これらは二次的なものであり、最大の要素は直属の上司──つまりSVやリーダーとの相性、あるいは人格・資質・スキルによるところが大きい。
コールセンタージャパン編集部が毎年、主催している「コンタクトセンター・アワード」(共催:イー・パートナーズ)には、効果的な取り組みを主導したリーダーやマネジメントを表彰する個人表彰部門を設けている。2023年のリーダー・オブ・ザ・イヤー(LOY)受賞者は8名。その8名の取り組みから、共通点の多いポイントを抽出したのが図2だ。
例年のことだが、LOY受賞者には「人材育成」に軸足を置く人材が揃う。ほとんどは現場スタッフに厚い人格的信頼を寄せられ、そのセンターにおけるロールモデルになっている。加えて、高いITリテラシーをベースにした取り組みを主導した人材が目立ち始めた。生成AIが普及するであろう、今後の現場リーダーにとって必須スキルとなりそうだ。