日本中で再高騰!
全国時給/月給調査2020
Part.1 <現状と課題>
在宅勤務、正社員化、採用改革
コロナ禍で変わる『求人』のカタチ
店舗の休業や営業時間の短縮といった直接接点の縮退を受け、業務が増えたコールセンターは少なくない。一部のBPOベンダーでは、“特需”が発生。コロナ禍においても多くのコールセンターが求人や採用を継続している。編集部が毎年実施している採用時時給/月給調査のデータをもとに、ウィズコロナ時代の人材確保について検証する。
コロナ禍は、雇用や就業にも大きな影響をおよぼしている。休業者は平常時の約3倍にあたる約600万人まで急増、完全失業者数(季節調整値)も3カ月連続で増え、約180万人におよぶ(総務省「労働力調査」)。有効求人倍率は1月以降、4カ月連続で下降した。
一方で、コールセンターをはじめ、一部の産業・業種では求人活動が引き続き活発だ。企業側からすれば、長年の売り手市場が解消され、人材確保の好機と捉える向きもある。
コールセンタージャパン編集部では、毎年1月〜4月、公表されている求人広告をベースに、採用時時給・月給調査を実施。今年の調査結果は、図1に示すように、全国の採用時時給(以下、時給)の平均額が昨年と比べ上31円上昇、1285円となった。エリア別に見ても、すべてのエリアで前年を上回っている。
新型コロナウイルス感染症の影響で有効求人倍率は下がっているものの、コールセンターの人手不足は変わらない。働きやすさを強調し、採用方法もより一層の工夫が欠かせない。具体的には、(1)在宅シフト、(2)正社員化/無期雇用化、(3)採用手段のデジタルシフトが必要になっている。
図1 過去5年間の推移(エリア別)
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図2 エリアごとの採用時時給
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Part.2 <データ分析>
同一労働同一賃金、デジタルシフト
問われる採用環境の激変を読む「先見性」
Part.2では、職種や業種、雇用形態別の採用時時給/月給の傾向を分析する。とくに顕著だったのは、同一労働同一賃金の影響と「スペシャリスト」への厚遇だ。高度なテクニカルサポート能力、モニタリングやナレッジ構築といった専門知識を有する人材の募集は、例年になく厚遇条件だった。求人媒体のデジタル化、複雑化も受け、優秀な人材を確保するための苦闘が垣間見える。
Part.2では、求人募集データに掲載された業務内容や雇用条件などをもとに、より詳細に、コールセンターの採用市場を検証する。
図3は、オペレータと管理職の平均時給の推移だ。両者には200円ほどの差があり、いずれも上昇傾向にある。しかし、リーダー職の報酬としては、明らかに少ない。
図4は、オペレータおよび管理職の、雇用属性(正社員、契約社員)ごとの平均月給の推移だ。時給と比べて大きな差がある。
採用難を受けて、業種を問わず正社員化が進んでいる。総務省の労働力調査(2020年4月)によれば、正社員は7カ月連続で増加、非正規は2カ月連続で減少している。非正規雇用の不安定さは課題で、とくにコロナ禍では、非正規雇用の雇い止めなどが多く報告された結果、際立ちつつある。求職者の正社員志向は強まっているだけに、正社員化が非常に有効な人材確保の手段となりそうだ。
図3 オペレータと管理職の雇用形態別平均時給
図4 オペレータと管理職の雇用形態別平均月給