産業医有志グループが作成し、厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治氏(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートを受けた「企業向け新型コロナウイルス対策情報」のコールセンター編がまとまった。
企業向け新型コロナウイルス対策情報配信(2020年4月15日)
3密の解消!職場環境をチェックしましょう <コールセンター編>
経営者・総務人事担当者のみなさま、コールセンターは感染拡大リスクの高い職場です。風邪症状のある人は休む、職場の換気、こまめな手洗いといった一般的な留意事項に加えて、対策を強化しましょう。
1.課題の背景:
国内外でコールセンターにおけるクラスター発生が報告されています。「3密」(密閉・密集・密接)の観点では、物品の共有がある、業務で声を出す必要がある、一部屋に比較的大人数が集まる、設備面の制約でこまめな換気が難しいなどのリスクが想定されます。コールセンターを例に、より具体的な対策について考えていきます。
2.企業でできる対策:
・接触感染を防ぐため、各従業員が使う席やマイクなどの道具は、個人専用とする。
どうしてもできない場合は毎回確実な清拭を行う。
・飛沫感染を防ぐため、席間の距離を空けるか、仕切りを設ける。
厚生労働省が全業種向けに公表した「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」(https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000616869.pdf)の「2 クラスターの発生防止のための対策」(3)(4)をもとに、コールセンター向けの内容を補足します。
(3)多くの人が密集する場所の改善
□在宅勤務・テレワークを推進している。
□時差通勤、自転車通勤の活用を図っている。
□テレビ会議等により、人が集まる形での会議等をなるべく避けるようにしている。
□対面での会議やミーティング等を行う場合は、人と人の距離を2メートル以上取るようにしている。
□社員食堂での感染防止のため、座席数を減らす、昼休み等の休憩時間に幅を持たせている。
□喫煙場所の利用を制限している。
□その他
コールセンターに関わる「その他」の具体例として、従業員間の接触感染を防ぐため、
「□複数名が共用する物品をできるだけ減らす」が挙げられます。各従業員が使う席をできるだけ固定し、マイクやパソコンのマウス・キーボードは、すぐに交換できるカバー部分だけでも個人専用とすることが考えられます。
24時間シフト体制などの事情でやむを得ず複数名で使い回す物品は、界面活性剤を含む住居用洗剤(台所用、浴室用など)かアルコール(70~80%)を用いて清拭または洗浄を行います。次亜塩素酸ナトリウム(0.05%)は樹脂や陶器には使えますが、金属腐食性が強いため電気製品には使わないほうがよいでしょう。
なお、これら以外の「ウイルス対策」や「除菌」を謳う商品(マイナスイオン発生器/空気清浄機、空間除菌剤など)に関しては、消費者庁から注意喚起がなされています。
(4)近距離での会話や発声の抑制
□職場では、人と人との間に距離をなるべく保持するようにしている。
□外来者、顧客、取引先との対面での接触をなるべく避けるようにしている。
□その他
従業員間の距離を保持して飛沫感染を防ぐため、対面を避ける、隣席との距離を空ける(一つ飛ばしにする)など、席の配置を見直します。
「その他」の具体例として、部屋の広さの制約などで2メートル以上の間隔を開けにくい場合には、
□ビニールシートやアクリル板で対面者や隣席と簡易的な仕切りを設ける。
□業務中はマスクを着用する。
といった方法を併用します。
3.関連情報リンク:
厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(関連業種の方向け) 令和2年4月10日時点版
「2 集客施設を運営する方へ(飲食店、小売店など)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou.html
消費者庁 新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について(2020年3月10日)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/200310_1100_representation_cms214_01.pdf
※田原 裕之氏(産業医科大学 産業精神保健学)
本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。