CT編集部による「コールセンター/CRM市場7大予測2014」

(1)金融系コールセンターの規模&機能拡張続く
 2013年、アベノミクスによって株価が上昇し、証券各社のコールセンターは増員するケースが相次いだが、その傾向が続いているうえに1月からサービスインした「NISA」が話題を集めており、とくに証券、銀行各社のコールセンターはその対応に追われ増員する可能性が高い。

(2)採用難時代再び?! 首都圏中心に時給高騰傾向へ転じる
 2008年秋のリーマンショック以降、採用市場の冷え込みを受けて、とくに首都圏のコールセンターでは「人がやめない」「募集定員以上の応募がある」という買い手市場が続いたが、2013年12月には有効求人倍率が1.0倍を突破。こうなると過去の経緯を見ても、コールセンターが採用難に陥る可能性が高い。結果、ここ数年、下落傾向が続いていた採用時時給や全体時給も高騰すると予測できる。

(3)コールセンター/CRM関連IT市場は伸長の可能性大
 2012年、2013年と2年連続で1~2%増程度で推移したと見られているCRM関連のIT市場。2014年も、金融会社のコールセンター拡張や一部保険会社の経営統合によるセンター統合などが続くことで、同程度の伸長は期待できそう。投資意欲が高い、あるいはその必要性が高い業界は金融に加え、スマホ/タブレット普及が続く通信/通信サービスと予測。なお、JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)のIT投資動向調査(調査対象は大企業が中心)の速報値では、重点投資項目について「SFA/CRM」がトップとなっている。

(4)ソーシャルメディアのカスタマーサービス&サポート活用、新規導入は一段落。注目は導入企業の成果へ
 アクティブサポートをはじめとしたソーシャルメディアのカスタマーサービス活用は、通販、IT系製造/サービス業、大手通信キャリアなどがすでに本格運用している。ただし、具体的な数値による成果が示しにくい取り組みだけに、今後、新しく着手する企業が劇的に増える可能性は低い。結果、関連するITソリューション、アウトソーシングサービスもマーケット全体に大きな影響を与えるレベルにはならないと推定される。

(5)クラウド型コンタクトセンターは啓もう期から定着期へ
 ACDやCTI、IVRなどのプラットフォーム機能をサービスとして利用するクラウド型コンタクトセンターは、IT市場において一定の認知度を得て、市場に定着しつつある。ユーザー側の検討基準も、これまでの「オンプレミスかクラウドか」という二者択一というよりも、「自社センターに必要な機能がクラウドで実現できるのか」という観点に変化しつつある。2014年も導入企業が増えることは確実視されているが、その中心は数十席レベルの中小規模センターというトレンドに変化はなさそうだ。顧客管理などのアプリケーションのクラウド化はさらに進行する見通し。

(6)アウトソーシング市場は横ばいから微増ペースを維持
 コールセンター向けアウトソーシング市場は、2013年は金融系コールセンターおよび通信企業(とくに携帯キャリア)コールセンターの規模拡張、一部バックオフィス機能を含むBPO市場の拡大によって前年実績を上回った企業が多いようだ。2014年も同様の傾向は続くが、それ以外に大きな特需要因は現段階ではなさそうだ。結果的に横ばいから微増というペースが続く可能性が高い。

(7)センター運用面の課題は原点回帰、「生産性向上」にシフト
 コールセンターの運用面における課題は、2013年の「コールセンター白書」で「呼量予測に基づくオペレータの適正配置」を挙げる企業が増えた。新規採用が難しくなりつつある現在、「現有戦力で最大限の成果を挙げる」という生産性向上を課題視する傾向は続くと思われる。IT面ではコール統計管理システムやワークフォース・マネジメント・システムに注目。アウトソーサーにはより高度な業務設計力が問われる可能性が高まりつつある。

2024年01月31日 18時11分 公開

2014年01月07日 10時00分 更新

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