ヴイエムウェア、「女性活用」をテーマに座談会を開催

安倍内閣が、「すべての女性が輝く社会づくり」を推進する一方で、女性が働きやすい職場環境はいまだ十分に整っているわけではないのが現状だ。比較的女性が多い職場のひとつであるコールセンターでさえ、不十分といえる。

ヴイエムウェアは、このほど「インクルージョン(さまざまな人材が活躍できる職場づくり)」の一環として、ITベンダー各社の女性サポートエンジニアによる座談会を開催。近年、女性活用が進むカスタマーサポートの職場で、どのような制度を活用しながら、各自の強みを生かし活躍しているかを聞いた。


<参加者>

◆司会◆
伊藤みどり ヴイエムウェア AirWatchプロフェッショナルサービス部部長

◆参加者◆

鈴鹿元子 ヴイエムウェア グローバルサービステクニカルサポート本部 シニアテクニカルサポートエンジニア

池尻佳織 ベリタステクノロジーズ サポートソリューションズ本部 EnterpriseVaultサポート部シニアテクニカルサポートエンジニア
松田絵里奈 レッドハット コンサルティング・サービス事業部 コンサルタント
森杏花 日本オラクル カスタマーサポートサービス統括テクノロジーサポート本部Fusion Middlewareサポート第二部 シニアテクニカルサポートエンジニア
新海美咲 日本マイクロソフト カスタマーサービスアンドサポート マイクロソフトサービスサポート サービスデリバリーマネージャー
小林聡子 セールスフォース・ドットコム テクニカルサポート部テクニカルサポートシニアエンジニア
加藤沙羅 日本マイクロソフト カスタマーサービスアンドサポート エンタープライズプラットフォームサポート サポートエンジニア
斎藤麻理恵 ヴイエムウェア グローバルサービステクニカルサポート本部プロダクトサポート部 テクニカルサポートエンジニア



苦労やチャレンジが成長のタネ

――本日は、ITベンダーのカスタマーサポート部門で活躍する女性エンジニアのみなさんにお集まりいただき、仕事のやりがいや職場環境などについてお話を伺います。よろしくお願いします。まず、みなさまのサポートサービスとの出会いや目標について教えてください。

鈴鹿 新卒で入社した鉄道会社のIT部門の方々がとてもカッコ良くみえて、IT系企業に転職しました。その後、もっと勉強したいと思い、渡米できるよう外資系に転職しました。「面白そう」と感じたら躊躇せずチャレンジし続け、今に至ります。

松田 私も、その場のひらめきを重視して転職してきましたが、自分の欲求よりも、人に「あなたならこれができるんじゃない」と言われた方を選ぶことにしています。エンジニアとして、これまで技術力を追求してきましたが、技術は加齢とともに吸収力が落ちてくると感じるので、これからはもっと経験値を活かせるようお客様との対話のところに重きを置いていきたいと思っています。

池尻 サポートサービスは毎回新たな問題に出会えるのが魅力です。ずっと勉強が続く。技術の勉強は面白いですが、仕事に活きるのはコミュニケーション力だと感じます。お客様が何を重視するのかを聞き出して、そこを押さえるかどうかで同じ解決でも満足度やスピードが全然変わってきます。

私は文系出身ということもあり、入社以来、技術は常に遠く追いかける対象でした。モグラ叩きのように知識を身に付けてきたので、今度はそれを体系化したいというのが最近の考えです。

新海 エンジニアは技術を追求するというシンプルなゴール設定ができますが、プロジェクトのマネジメントやサービスデリバリーの仕事となると、質や方法が人によって大きく異なります。日々の業務、周りの上司・同僚から学びつつ、自分なりのゴールを模索しています。
加藤 私は新卒で入社後ずっと、電話やメールでBtoBのサポートをしています。担当している製品は、自社や他社製品のアプリケーションソフトと複雑に連携しており、根本原因の調査のために他部署との連携や調整が必要になることも多いです。まだ20代なので今後、エンジニアとして得意分野を掘り下げるか、幅広く知識を拡げていくのか、自分のキャリアパスに悩んでいるところです。
斎藤 ヴイエムウェアに入社し3年目です。その前は、大学院で心理士になろうと勉強していました。サポート業務は、よほど緊急でなければ残業になることは少なく、働きやすいと感じます。私は、あまり先のことを考えることが少ないのですが、これまでを振り返ると、苦労の後に成長があったと感じるので、今は大変だと思うことに積極的にチャレンジしたいと思っています。


“神”との出会いが学びになる

――みなさん、とっても勉強熱心でチャレンジャーですね。そのモチベーションを保つヒケツは。



松田 解決のうれしさを知っているので、解決するまで24時間考えていられます。どんなにストレスが溜まっても、解決すれば帳消しになります。

知識が埋まっていくこと自体が楽しいですね。世界中にある不具合で困ってる人がいるなか、自分のケースで解決できたときは、多くの人に役立てたと前向きな気持ちにもなります。

新海 私も、貢献できる喜びというのは大きく、若干ムリのあるスケジュールのマネージなど、「私だからできた」と思えると時は充足感があります。

小林 “神”と呼べるような高い技術力を持つエンジニアと仕事ができることに喜びを感じます。社外の人でも、積極的に会うようにしています。海外の有名なエンジニアにメールでコンタクトをとって会いに行ったこともあります。その人の生活について聞いたり、技術を学んだりすると、自分がこれから何をすべきか見えてくることがあります。

時短/在宅は育児との両立に必須

――私自身は仕事が大好きすぎるあまり(笑)、オンオフをあまり意識していないのですが、みなさんはワークライフバランスについてどうお考えですか。



鈴鹿 私は2年前に出産したので、今は時短制度を利用しています。設備環境が理由で週に1回ほどですが、在宅勤務制度も活用しています。今年の初め、東京から実家のある大阪にオフィスに転勤になり、両親の助けも借りられるようになりましたが、それでも時短や在宅は育児との両立には必須の制度だと感じています。

池尻 私も3歳の子供がいるので、今は在宅でも仕事をしています。エンジニアや営業といった関係者と定期的に顔を合わせたほうが話がまとまりやすいので、週に2回は出社するようにしています。

松田 在宅制度は、仕事をしている姿を見せられない分、成果で示す他ないため、自分に対しより厳しくなれるいい制度だと感じます。弊社も在宅勤務を活用する人は多いです。私は、コンサルティング業務なので、出社した方が仕事を進めやすいと感じるのであまり使っていません。

小林 クラウドサービスなので、お客様の情報を弊社がデータセンターで管理・運用しているため、データセンターのサーバーにて何らかの問題が発生した場合、サービスをご利用頂いているお客様に影響が発生する場合があります。こういった緊急度が非常に高い時は、迅速対応できる体制として、メンバーが同じフロアなど声が届く範囲に集中している方が効率が良くなります。ただし、 昨今はテレビ会議やグループチャットなどでもコミュニケーションがとれるので、こうしたツールを活用しながら在宅制度の利用を検討をしている状況です。

新海 24時間対応が前提のクラウドサービスのサポートでは、完全にフレキシブルな状態は不可能かもしれませんね。

池尻 在宅勤務でも、業務終了後に電話かかってきた場合は、急遽対応しなくてはならないこともありますしね。

小林 英語圏だと、18時以降は別の国のサポート部隊が対応するという方法で長時間労働を回避できているようです。

新海 前職はオーストラリアで働いていました。定時には帰る。また、ある程度フレキシブルな働き方が認められている環境はやはり素晴らしかったです。余暇を使って、スキルアップをしたり、家族との団欒をしたりさまざまですが、日本も徐々に環境がかわればよいと思います。

ファシリティはいいに越したことはない

――働きやすさという意味では、外資系企業では特に、ファシリティを充実させている企業が少なくありませんが、みなさまはいかがですか。



池尻 前の職場ですが、トップダウンで、長時間座っているサポート部隊のメンバーにのみ高級な椅子が支給されたことがありました。

松田 ファシリティは第一要件ではないけれど、充実しているに越したことはないですね。

小林 弊社では「Salesforce Chatter」を活用しているのですが、そのファシリティグループに要望を書き込むことができます。

池尻 私は産後2カ月半で職場復帰したのですが、職場に授乳室がないので不便を感じました。米IT企業では授乳室や搾乳機があるところもあるようですが、日本にはないので必要に応じてトイレの個室で搾乳したりしていました。

新海 確かに、日本では職場に授乳室があることはめったにないのかもしれませんね。海外からエグゼクティブがきたときに聞かれて探したことがありますが、弊社では、医務室を使用してもよいという体制でした。

――働きがいや働きやすさについて、さまざまな立場からお話を伺えました。比較的革新的な外資系企業ですら、働きやすさの取り組みは途上にあるようです。みなさんの声が今後の職場改善につながることを祈ります。本日はありがとうございました。

今回の座談会の参加者たちは、「女性だけど」「女性だから」といった気負いがなく、仕事を楽しみ、のめりこむうち現在のスキルやキャリアを築き上げてきたという印象が強く残った。
時短や在宅勤務といった各種制度は女性だけのものではないが、これらをうまく活用し、趣味や家庭など私生活を充実させることが、モチベーションや仕事の質にもフィードバックされている彼女たちの姿は、後続の若き女性社員にとってもよきロールモデルになるにちがいない。

今後、労働力不足は深刻化することが確実視される。
企業が優秀な人材を確保するためには、働きやすさと働き甲斐を実感できる職場環境の構築が不可欠だ。
時短制度を導入すればいい、などという単純なことではない。
「女性だけど」という発想すら浮かばないような、性別がマイナスにならない評価制度やキャリアパス、仕事を楽しいと思える仕組みの構築が欠かせない。
コールセンターをはじめ、女性活用を進めるすべての職場で、やるべきことはまだ山積している。

 

2024年01月31日 18時11分 公開

2017年01月10日 15時25分 更新

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