LINEが事業戦略を発表, 「コミュニケーションアプリ」から「スマートポータル」へ

LINE(東京都渋谷区、出澤 剛社長)は、このほど「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」を開催し、事業戦略を発表した。

コミュニケーションアプリ「LINE」の提供開始から5年。全世界での累計登録ユーザー数は10億人超、月間アクティブユーザー数(MAU)は2億1500万人に達している。

出澤社長は、「これらのLINEユーザー(人)同士、あるいは人と情報、モノとの距離を縮めることを目標にサービスを提供していきたい」と説明。コーポレートミッションとして「Closing the distance」を掲げ、実現するビジョンとして「スマートポータル」を発表した。単なるメッセンジャー・アプリからコンテンツプラットフォームとしての色を強め、将来的には、スマートフォンユーザーにとってのコマンドラインあるいは“リモコン”としてLINEを機能させる考えだ。


スマートポータル
「スマートポータル」のイメージ

発表されたミッション・ビジョンに基づく具体的な戦略として、「ビジネスプラットフォームのオープン化」など多くの取り組みが紹介された。ビジネスプラットフォームのオープン化は、「Webサービス事業者」「SME(中小企業)向け」「開発者向け」に展開する。

Webサービス事業者には、LINEアカウントを起点とした自社サービスの集客やフォローが可能な「Official Web App」の提供を2016年夏ごろに予定している。企業のWebサービスとLINEアカウントを連携、LINEに登録された個人情報を、Webサービスの登録や予約・購入に活用できる(情報の扱いはユーザーの任意)。例えば、LINEチャットによるプッシュ配信(キャンペーン情報など)を経由したサービスの購入や契約が可能となる。ユーザーは、新規に個人情報を入力する手間が省ける。LINE上で使えるポイントカード機能を実装することにより、コンバージョン率の向上も期待できる。従来の公式アカウントに加え、諸機能を利用できる月額2万円のプランの提供も予定。友だち数10万人までメッセージ配信が追加料金や通数制限なしで利用できるという。


Official Web App
「Official Web App」によってLINEアカウントとWebサービスをシームレスに連携する

中小企業向けには、ビジネス向けアカウント「LINE@」のパートナープログラムを提供。開発者向けには、LINEのメッセージングAPI「LINE Beacon」「LINE BOT API」「Chat AI Plugin」を順次公開する。なお、Chat AI Pluginは、LINEの独自開発およびサードパーティとの連携開発したものを2016年内に提供する予定。事前に登録されたFAQや応対履歴などのデータをもとに、ユーザーからの問い合わせに回答するもの。オペレータの人的コストの削減およびCRM/マーケティング活動に貢献する。

オープン化に伴い、LINE上のビジネス展開を促進することを主眼として、LINEアカウント機能も拡張した。ユーザー側では、各企業・店舗のアカウントから配信されるクーポンを一元管理できる「Coupon Book」、LINE上の商品購入などに利用できる「ショップカード」を提供。企業側には、LINE@アカウント上でネットショップを開設できる「コマース」を提供する。

このほか、「スマートフォン決済・ポイントシステムの強化」も実施。モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」のチャージおよび決済の提携を強化した。さらに、ジャパンネット銀行との連携により、振込みによるチャージが可能な「チャージ専用口座」を開始。ジェーシービーとの協業により、オフラインでのLINE Payの利用が可能な「LINE Payカード」の発行を開始。国内外のJCB加盟店3000万店でも決済利用できるようになった。


LINE Pay Card
LINE Pay Cardのイメージ
 

2024年01月31日 18時11分 公開

2016年03月29日 15時10分 更新

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