ガートナー ジャパン「カスタマー360サミット2015」を開催

 ガートナー ジャパンは、2月18日、都内で「カスタマー360サミット2015」を開催した。

 
 はじめに、ガートナー リサーチ 主席アナリストの川辺謙介氏、バイス プレジデントのジーン・アルバレス氏、リサーチ ディレクターのジム・デービーズ氏が登壇し、顧客対応で最重要視すべきポイントについて各自が「理解」「エンゲージ」「提供」についての見解を解説した。

 顧客への「理解」が重要というデービーズ氏は「顧客を理解していない限り、どのようなエンゲージもエクスペリエンスも無意味」としたうえで、「2020年までに収集、格納、分析すべきデータ量は、10倍になると見込んでいます。そうした中では、“分析結果から何かを見つける”という従来型の手法では網羅しきれません。顧客を理解するための次世代の分析手順は“ビジネスの目的から対象データ、分析手法を決める”ことになるでしょう」と解説した。

 次いで「エンゲージ」の重要性を解説したのは、アルバレス氏。「企業は“売り上げ向上”というエンゲージメントを求めていますが、顧客側は、楽しい買い物や、より心地よいサービス、利便性などを求めています。顧客ごとに異なるニーズに応えるには個別対応が不可欠ですが、“監視されている”“気味が悪い”とは思われない、適切な距離感が重要」と海外事例を交えて解説した。

 最後に、「提供」プロセスが重要と主張した川辺氏は、スキー場を運営する「Vail Resorts」の事例を交えて解説。同社は、スキーのリフトパスにRFIDを搭載しており、アプリケーション「EpicMix」を利用すると、顧客は自分の走行スピード、ベストタイム、居場所を確認したり、友人や家族と情報共有できる。さらに、プロのカメラマンがスキー場を撮影して回っており、RFIDリーダーに紐づいた写真を自動で各アカウントに配信している。「かつては商品を“早く届ける”“正しく届ける”という“当たり前品質”を目指してきましたが、現在、顧客ロイヤルティの差別化ポイントとなるのは届け方、つまりカスタマー・エクスペリエンスをいかに提供するかにかかっています」と主張した。


 続いて、リッツ・カールトン大阪で10年以上従事してきた大手前大学 現代社会学部教授 の四方啓暉氏が「リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ」と題して講演。「リッツ・カールトンの場合、新規で顧客を獲得するコストは、リピーターを維持するコストに比べて8倍も要していました。リピーターを創るのは、現場のメンバーです。リッツ・カールトンのクレドは有名ですが、それだけではメンバーの意識は変わりません。年に4回の社員満足度調査を実施して不満要素を取り除いたり、就労環境に求める要素としてメンバーが重視する傾向の強い同僚同士で評価する仕組みを作り、ESを維持していました」と話した。


 午後も、バンダイなどの事例をふくめた複数のセッションが行われ、多数の来場者が聴講した。

2024年01月31日 18時11分 公開

2015年02月19日 15時16分 更新

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