2018年7月号 <特集>

特集扉

“聞く”から“視る”へ
進化するクオリティ・マネジメント

Part.1 <現状と課題>

変わるオペレータ指導とVOC活動
音声ログの「戦略的活用」を探る

音声認識の導入が進み、コールログをリアルタイムでテキスト化して“目視”で管理するコールセンターが増えている。コールが“読める”ようになることで、クオリティ・マネジメントは大幅に効率化、そして進化する。エラーチェックが自動化でき、モニタリングの目的は対応の“粗探し”から「サービス価値の向上」にシフト。進化するモニタリングの現状と課題を検証する。

 最近は音声認識技術を使ってコールログをテキスト化し、“目視”するコールセンターが増えている。これにより大きく変わるのが、聞くべきコールを抽出するプロセスだ。

 原則として「評価」と「指導」のための対象コールは別に抽出する必要があるが、多忙のあまり、その手間をかけられないセンターも多い。結果、評価も指導も保留や転送のない、“無難なコール”が対象となってしまい、本来、指導すべきコールが埋もれ、かつ印象に残っていないコールのため指導が空回りするなど、クオリティ・マネジメントにならないケースも散見される。

 音声ログのテキスト化によって、例えば、抽出の判断基準をAHT(平均対応時間)やコールリーズンだけでなく、あらかじめ設定したキーワード(NGワードなど)や“文脈”を加えることが容易となる。さらにテキストマイニングを組み合わせれば、目視だけでは発生しがちな抜け・漏れもほぼ防止できる。

 ログの全件テキスト化は、評価そのものの自動化も可能にするだろう。モニタリング担当者は“量をこなす”負荷から解放され、サービスの改善という本来の役割に徹することが可能になる。

 さらに、VOC活用も進化するだろう。コールのトレンドをリアルタイムに分析してFAQの表示順序に反映したり、テキストマイニングや要約技術を使ってVOCを即日報告することも可能になる。スピーディな経営判断やサービスの改善につながるはずだ。

図 モニタリングの対象コールは目的に合わせた抽出が可能になる

図 モニタリングの対象コールは目的に合わせた抽出が可能になる

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Part.2 <座談会>

ミス/エラーチェックは自動化の時代!?
SV・QAの仕事は「分析・提案」に移行

モニタリングは労力をかける割に評価結果は十分に活かされず、オペレータの粗探しに終始している印象もある。音声認識やAIによってモニタリングはどう変わるのか。センターを運営するアサイアンの野村裕美氏と富士ゼロックスサービスクリエイティブの鶴岡 茂氏、品質管理のコンサルタントを行うインサイトの大西美佳氏に、品質管理の課題と今後の展望を聞いた。

 音声ログの全件テキスト化によって、モニタリング担当者は評価そのものよりも、結果をもとにした指導により注力できるようになる。

 座談会では、対象コールの自動抽出など効率化への期待が語られる一方、「QA(品質管理担当者)は、正確に評価する能力よりもコーチング力がより求められるようになる。コーチングの場面でオペレータから『では、どうすればいいのですか』と聞かれたとき、具体例を示すことができないと指導につながらない。『本来こうすべきだった』という回答をもつことが、QAには求められる」という指摘もあった。こうした変化に備えアサイアンの野村裕美氏は、「QA認定制度の導入を進めている」と自社の取り組みを紹介した。

 また、インサイトの大西美佳氏は、「エラーチェックが自動化できるようになれば、人が行うモニタリングは業務やサービスの改善につながる視点で行うべき」と強調。会話の流れに沿ってお客様の心情レベルを数値でプロットしていき、どこでトーンが下がったのかを探ってペインポイントを分析するエモーショナルマップを活用したモニタリングを提唱した。

 富士ゼロックスサービスクリエイティブの鶴岡 茂氏は、「分析力が課題。テキスト化されたログをもとにコールリーズンを分析し、パフォーマンス向上やスキルセットの見直し、販売会社への詳細なレポート作成などにつなげたい」と話した。

座談会

出席者(順不同)

野村 裕美 氏(右)
 アサイアン
 カスタマーケア ディレクター

鶴岡 茂 氏(左)
 富士ゼロックス
 サービスクリエイティブ
 執行役員兼カストマーコンタクト部部長

大西 美佳 氏(中)
 インサイト
 代表