2018年4月号 <インタビュー>

三木 要 氏

コールセンターは「初動」を促すセンサー
SNS時代のクライシス マネジメント

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー
執行役員
クライシスマネジメントサービス 統括パートナー
三木 要 氏

「自社だけは大丈夫」「いざとなれば、なんとかなる」。不祥事や製品事故によって経営危機に陥る企業は、必ずと言っていいほど想定が甘く、初動も遅い。情報が一気に拡散するSNS時代における経営と現場がとるべき準備と対処について、大手電力会社やメーカー、金融機関でクライシス対応の指揮を執ってきた三木氏に聞いた。

Profile

三木 要 氏(Kaname Miki)

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 執行役員
クライシスマネジメントサービス 統括パートナー

1971年3月29日生まれ。早稲田大学法学部卒。大手電力会社において、クライシス対応責任者を務める。巨額の損害賠償対応についてチームアップおよび制度の基本設計、マネジメントを統括し、マスコミ対応や官公庁折衝にも従事。一部上場素材メーカーの事業企画部長を経て2015年より現職。

──データ改ざんや情報流出など、日本企業の不祥事に関する報道は相変わらず多いようです。なぜこのようなことが起こり続けているのでしょうか。

三木 昔に比べて不祥事が増えたというわけではなく、社会全体で「不祥事」と判断するしきい値が低くなり、顕在化しやすくなっています。もともと日本の企業コンプライアンスに対する基準は、諸外国に比べて高かったのですが、近年の会社法の改正やガイドラインによって、ある意味窮屈とも思えるほどに厳格化しています。さらに情報が拡散しやすい社会になったため、世論に「許される範囲」が狭まっています。

 従来は新聞や雑誌、TVなどのメディアが旗振り役となって世論を動かしていたのですが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及によって、プロセスが一変しました。消費者個人の声が、SNSを通じて拡散することによって、メディアが後追いで取り上げる現象は、いまや珍しくありません。例えば、2014年のカップ麺の虫混入も消費者のSNS投稿が発端となって表面化しました。店頭での顧客対応がTwitterに投稿されて炎上した事例もあります。

──確かに、企業が気づいたときにはすでに社会全体に拡散していて、企業価値を大きく損なっているケースが多いようです。

三木 不祥事、製品事故といったリスクに対し、発生しないように管理する「リスク マネジメント」と、発生してしまった後の損失を最小限にとどめて早期回復を図る「クライシス マネジメント」の考え方がありますが、往々にして後者の意識が欠けています。デロイト トーマツ グループが国内の上場企業435社を対象に実施した「企業のリスク・クライシスマネジメント実態調査」でも、回答企業の50%弱が「(グループおよび自社の体制が)適切とは言い切れない」「構築・整備が不十分」と回答しています。当然、「クライシスが発生しない」が最善ではありますが、想定外は必ず起こるもの。「自社だけは大丈夫」「いざとなれば、なんとかなる」という考えは甘いのです。クライシスが起きることを前提とした備えが必要です。

──クライシスに備えるポイントは。

(聞き手・横田麻生子)
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