2018年3月号 <特集>

特集扉

“組織力”を測る
コールセンターの成熟度診断

Part.1 <判定シート>

「標準化×PDCA×新たな挑戦」で可視化
『成熟したコールセンター』の公式

富士ゼロックス セキュリティビジネス事業部マネジャー 加賀 宝

コールセンターは、『成熟度』によって採るべき施策やあるべき組織の姿が異なる──この仮説のもと、5年後のコンタクトセンター研究会マネジメント分科会(主宰:リックテレコム)では、「コールセンターの成熟度」を測る評価判定シートを作成した。Part.1では、同分科会のリーダーを務めた富士ゼロックスの加賀 宝氏が、シートの全体構造と評価の考え方を解説する。

 今回、成熟度モデル策定にあたって想定したのは以下のようなセンターだ。

 「運用の標準化によって、日常業務が滞りなく遂行しているうえに、常にPDCAをまわしながら積極的に新たな試みに取り組んでいるセンター」

 このようなセンターになるためには、どのような要素が必要なのか。5年後のコンタクトセンター研究会マネジメント分科会では、センターの成熟度を52項目で測る「判定シート」を作成した。

 図1が、成熟度モデルの全体像だ。成熟度を判定する領域である「ドメイン」、成熟するために必要な「評価項目」、そのレベルを判定するための「レベル判定基準」から構成される。

 ドメインは、ビジョンや計画などセンター全体に関わる「方針」、採用や教育などの「人財」、運用やマネジメントなどの「プロセス」、オフィスやITなどの「インフラ」、“お客様は誰か”を明確にする「顧客」の5つを定義した。評価項目は各ドメインの下に総計52、レベル判定基準は評価項目ごとに5段階、定義している。

 基本的な考え方としては、冒頭の成熟したセンターの定義にある「運用の標準化によって、日常業務が滞りなく遂行されている」を実現するためには、レベル3の「文書化され、センター全体で実行されている」ことを必要不可欠としている。よって、まずはレベル3を目指すことが当面の目標となる。

図1 成熟度モデルの全体像

図1 成熟度モデルの全体像

※画像をクリックして拡大できます

※「成熟度レベル判定シート」およびレベル判定基準はこちらからダウンロード可能
CC成熟度レベル判定基準.xlsx

 

Part.2 <判定結果>

共通課題は「ES」「管理者育成」
“属人運営”からの脱却が至上命題

Part.1でまとめた成熟度評価判定シートを使い、29社(34センター)が自己評価した結果をもとに、共通の課題や傾向を検証する。「経営の理解」は進みつつある一方、現場でのES(従業員満足)への取り組みについては不十分さが目立つ結果となった。さらに回答企業のうち4社を対象に、評価結果と具体的な採点の理由、得られた気づきや今後の取り組みについて聞いた。

 29社(34センター)の回答結果の平均は図2の通り。

 「方針」はレベル5が比較的多く、年次計画の存在や遵守について問う「計画」では6社が5と評価した。評価の理由は、「3カ年計画を策定し、経営承認を経るプロセスが存在する」といった記述が目立った。

 一方、「人財」と「プロセス」は、レベル5(継続した見直しや独自の工夫によって最適化されている)が1社も存在しない項目が比較的多い。レベル4(プロセスを見直す手順が存在し実行されている)に到達していれば十分な項目も少なくないが、人財やプロセスはセンター運営の基本であるだけに、レベル2や3の場合は、優先的に改善すべき項目となる。

 「インフラ」と「顧客」では、成熟度の格差が目立った。

 「インフラ」は、ハイスコアの企業は、各項目とも総じて高く、オフィスもITもチャネル設計も整っている印象だ。一方、ロースコアの企業はいずれも不十分な設計で、センターの意向が反映されにくい環境にある。

 「顧客」も、「顧客満足度管理」でレベル5を評価した企業(1社)は、「顧客定義」や「顧客対応方針」もレベル4と評価した。

 本誌では、ライフネット生命保険、フィデリティ証券、グローリーテクノ24、オルビスの4社についてそれぞれの評価結果を詳しく検証している。

図2 判定の結果(有効回答数:34センター)

図2 2018年 コールセンター/CRM業界市場予測

※画像をクリックして拡大できます

CASE STUDY 1:ライフネット生命保険

経営との距離感、ポリシー浸透は高評価も
課題は「属人的な運営」からの脱却

CASE STUDY 2:フィデリティ証券

成熟度高めた「KPI管理」の徹底
生産性と品質をハイレベルで標準化

CASE STUDY 3:グローリーテクノ24

「目標、位置づけ、KPI」は明確も
プロセス/人材管理には大きな課題

CASE STUDY 4:オルビス

新人の定着率は高いが
マネジメント育成に課題