2018年1月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

パレートの法則でAIをはじめよう

ISラボ 代表 渡部弘毅

 豪雪日や台風といった交通機関が乱れるときや、桜満開の晴れた平日には、「サラリーマン辞めて良かった!」と思う、わたちゃんです。最近では、朝のNHK連続ドラマを見るときに実感しています。

 パレートの法則とは、20対80の法則とも言われ、構成要素を大きい順に並べたとき、「上位20%の要素で全体の80%程度を占めることが多い」という経験則です。ビジネスの現場でよく使われる事例としては、「上位20%の顧客が売り上げの80%を占める」「故障原因の上位20%で80%の故障を説明できる」というようなものがあります。ヘルプデスク系のコールセンターの現場では、「問い合わせカテゴリの上位20%が全体の問い合わせの80%を占める」ということになります。つまり、問い合わせ上位20%のFAQを十分に整備することが問題解決に大きく影響するのです。

 昨今、コールセンターではAIが注目され、魔法の薬のようにどのような問い合わせにも的確に回答を出してオペレータを助けたり、チャットボットなどで顧客の要望に完全に自動で対応する、という過剰な期待が持たれています。そうした情報に振り回されるのではなく、まずはパレートの法則に基づいて、20%の問い合わせカテゴリのFAQをしっかり構築することが大切です。具体的には、自然言語処理技術などを活用して、顧客の質問に適確な答えを迅速に提供することです。これによって問い合わせ件数全体の80%の対応を、効率よく、高品質なものにできます。こうした企業が高い顧客満足度を得られているようです。

 また、「難易度が高い20%の問い合わせにオペレータ対応を集中させる」という方法もとても重要な考え方です。「オペレータがわからないような難易度の高い20%の問い合わせに最適な回答を導いてくれるのがAIでしょう?」という意見もありますが、そのためには数多くの事例を蓄積したデータをディープラーニングで学習させることが必須です。AIを育てる教師役として人手が不可欠なのです。これには時間を要し、すぐにはそうした領域に到達できないことを知っておかなければなりません。

 FAQを整備しないまま、「AIを導入すれば勝手に自己学習して、高度な質問にも回答してくれる」と思い込むケースが最も失敗しやすいのです。パレートの法則に基づいた着実なAI導入が重要です。

 ということで、わが仕事人生にもパレートの法則「サラリーマンの仕事全体の時間の20%で仕事の成果の80%を占めている」を適用します。サラリーマンを辞めてフリーになった今は、無駄な会議や仕事をしない代わりにサラリーマンの頃の20%の仕事量でサラリーマンの頃の収入の80%を得られるという解釈です。早速家に帰って家族に「おとーさんは、これからはパレートの法則で生きるのだ!」と言ったところ、「グータラおやじの怠ける言い訳でしょ。真面目に働きなさい!」と一蹴されました。

図 パレートの法則でAI適用

図 パレートの法則でAI適用