2017年12月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

チャネルの特性を理解した「オムニ化」

ISラボ 代表 渡部弘毅

 本当は“生”が好きなのですが、痛風になるのが怖いためホッピーを愛好している、わたちゃんです。しかし、浅草のホッピー通りのやや高めの価格設定には、イマイチ納得いきません。

 カスタマーサポートのオムニチャネル化は顧客満足度向上施策としては重要で、今やどこのコンタクトセンターでも重要視されるテーマとなっています。そうした中、最も注目されているチャネルがチャットです。チャットインタフェースが浸透したことに伴って、消費者と企業とのやり取りにもチャットが普及しはじめています。従来はプロモーションなど、マーケティングプロセスでの活用が主流だったのですが、ヘルプデスク系でチャットを活用する動きが広まりつつあります。

 しかしながら、ヘルプデスクへの適用には注意が必要です。ヘルプデスクにはネガティブな体験をした顧客が問い合わせすることが少なくありません。対応業務の効率化のためにチャットに誘導しても、すぐに解決できなければ、満足度を下げてしまう可能性があります。さらに、チャットでは解決できずに電話で問い合わせをすることになった場合、「はじめから直接電話をしていればよかった」という不満を感じさせてしまいかねません。「顧客の問題解決を促進する」という目的でチャット窓口を設けたにも関わらず、結局「手間が増えただけ」では、顧客にも企業にもデメリットだらけです。むしろ顧客の不満を増やすだけかもしれません。

 チャット導入によるオムニチャネル化は、これまで電話で問い合わせをしてこなかった顧客層、つまりサイレントカスタマーの問い合わせ機会を増やすことを目的に導入することが望ましいでしょう。顧客から見た問い合わせの心理的ハードルを下げるためのオムニチャネル化としてチャットを位置づけ、顧客満足度向上を狙うということです。

 また、チャットとLINEは似て非なるチャネルです。チャットは企業のホームページから入っていくため、LINEに比べて心理的ハードルも、対応の“間”のリアルタイム性や拘束感もLINEより高いです。一方、LINEは顧客主導のタイミングでコミュニケーションが可能で、チャットより心理的ハードルも拘束感も低くなります。プロモーションよりの問い合わせ業務に向いているかもしれません。ただし、チャットもLINEも電話やメールといった従来のチャネルの問い合わせを減らして効率化する“代替”という目的ではなく、サイレントカスタマーからのアクセスを増やすという顧客満足度向上の視点での導入が肝要となります。

 ということで、僕もビールの代替品としてのホッピーという考えは捨てて、似て非なるホッピーを追求することにします。最近は黒生ホッピーがお気に入りです。やっぱり代替品っぽい?

図 チャネル特性と適用業務方針

図 チャネル特性と適用業務方針