2017年10月号 <特集>

特集扉

激変する人材マネジメント
どうする?!『2018年問題』

Part.1 <現状と課題>

業務設計の基盤「人材管理」が変わる!
労働契約法・派遣法の対応ポイント

労働契約法と派遣法が2018年、一気に適用開始される。いずれの改正も、原則として「無期雇用の推奨」という共通点を持ち、これまでの有期契約社員の入れ替え、あるいはほぼ自動的な契約更新で人件費を抑えてきた従来のマネジメントは通用しなくなる。運営企業にとっては、深刻化する採用難との“ダブルショック”だが、これは人材マネジメントを見直す機会と捉えるべきだ。

 2018年、非正規雇用社員の雇用ルールが大きく変わる。

 まず、2018年4月、労働契約法の無期転換ルールが適用される。これは、「有期労働契約が5年を超える場合、有期契約労働者による申し込みがあれば無期契約に転換しなければならない」というものだ。4月1日時点で5年を超えた有期契約労働者はその日から無期転換申込権を得るため、更新が半年ごとの場合は、10月以降に更新する人材について無期転換の申込権発生を見据えた準備が必要になる。無期雇用に切り替えるにあたっては職種限定正社員など新たな雇用制度の導入を検討したり、場合によっては派遣社員中心のインハウス運営から業務委託に切り替えを余儀なくされる場合もある。労務管理の変更は一朝一夕で行えるものではないため、長期にわたる計画的な調整が不可欠となる。

 次に2018年9月、「派遣可能期間は原則3年以内」という派遣法の「3年ルール」が全業種で適用開始する。また派遣期間が3年を超えたり、3年間派遣される見込みがある場合、人材派遣会社に雇用安定措置の義務(1年以上で努力義務)が発生する。具体的には、派遣期間が3年を迎える前に、派遣元が派遣先に直接雇用への切り替えを打診し、切り替えに至らなかった場合は、派遣元が別の派遣先を提供しなければならない。派遣法は基本的に派遣元である人材派遣会社に対する規制が中心だが、派遣先企業にとっても無関係ではない。人材派遣会社の無期転換は、派遣先企業がコントロールできるものではないため、品質維持の観点から、要員入れ替えのリスクに備えた準備が必要となる。

 今回の法改正は、インハウス、アウトソーシングに限らず影響がある()。アウトソーサーによる有期契約スタッフの無期転換も、委託元がコントロールできるものではないためだ。

 単に法律に対応する、というだけではなく、コスト配分や役割分担の最適化を図る目的で組織や業務を今一度見直すことが、組織や業務を見直すいいきっかけにもなるはずだ。

図 パターン別対応のポイント

図 パターン別対応のポイント

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Part.2 <対談>

無期雇用化で変わる研修プログラム
“付加価値の高い人材”発掘の好機と捉える

有期契約社員の無期雇用化の影響をまともに受けるのは、インハウス運営企業よりもアウトソーサーや人材派遣会社だ。既に大手各社は対応方針を打ち出し、「より優秀でクライアントに付加価値を提供できる人材育成」に乗り出している。人材派遣大手のアデコ、アウトソーサーのWOWOWコミュニケーションズに現状と課題、対策を聞いた。

増山 辰祐 氏

増山 辰祐 氏

アデコ キャリア推進室 室長

大学卒業後、新卒として大手流通企業に入社。2000年のアデコ入社後は、スーパーバイザー(SV)として、大手通信企業のインバウンド・テレマーケティング案件を担当。その後、SV人財センター長、人財部長などを経て、2017年にキャリア推進室長に就任。現在は全社の無期雇用転換プロジェクトをリードしている。

田中 浩嗣 氏

田中 浩嗣 氏

WOWOWコミュニケーションズ
第1事業部 業務1課 横浜 課長代理

WOWOWカスタマーセンターでは、運用管理者から始まり、地方拠点のセンター開設やリテンションチームを立ち上げる。WOWOW以外のクライアントのコンタクトセンター開設やセンター長などを経験し、営業や営業企画を担当。現在は複数クライアントのコンタクトセンター運営責任者として従事する傍ら、運用現場でのマーケティング力向上を狙い、研修会を企画運営する。

──労働契約法/労働者派遣法の改正に伴い、来年4月から非正規雇用者を中心とした職場の雇用契約の見直しが始まります。まずは人材を派遣する立場のアデコさんの対応方針を教えてください。

増山 今回の無期雇用化に対しては「転換型」と「付加価値型」の2つのモデルを用意しています。「転換型」は、有期契約5年以上のスタッフが無期化を希望した場合に速やかに無期契約に転換する制度です。一方、「付加価値型」は、実務経験や高いスキルを持つ優秀な人材を、一定の選考基準のもと新たにキャリアシード社員(無期雇用社員)として採用する制度で、給与体系を含む諸条件が異なります。既存の有期契約スタッフが「付加価値型」を希望する場合は、同様の選考基準に従って合格すればキャリアシード社員として登用されます。キャリアシード社員には、独自の研修プログラムや専属のキャリアコーチによるサポートがあり、スキルアップや自身が目指す職種へのキャリアアップを支援します。

(中略)

──WOWOWコミュニケーションズさんは、アウトソーサーとしてどのような対応を取られますか。

田中 現在、当社では1200〜1500名を雇用し、このうち約110名が正社員、約500名が受入の派遣社員で、残りが有期契約のスタッフです。法改正にあたっては、基本的に法律に則った対応を考えています。詳細については詰めている段階で、方針が決まり次第対応していきます。無期契約になれば、仕事の役割や責任範囲は広がる部分もあります。既存スタッフの中には、有期契約のままでいいという人もいるでしょう。個々の希望については、今後確認していく予定です。

──派遣社員はどうされますか。

田中 現在、複数の派遣会社から約500名の派遣社員を受け入れています。このうち主力となる派遣社員については、本人の希望と派遣会社の条件を考慮したうえで直接雇用に切り替える方針です。また当社には、もともとSV職へのキャリアパス制度があります。派遣社員から直接雇用に切り換えた方にはSV職、その後は正社員登用へのキャリアプランを考えています。

──(派遣元の)無期雇用に切り替えた派遣社員について、単価アップなどの対応は決めていますか。

(続きは本誌をご覧ください)