2017年9月号 <インタビュー>

岡元 利奈子 氏

有休消化、時短だけが改革ではない
企業力を高める「働きがい」の研究

Great Place to Work Institute Japan
代表
岡元 利奈子 氏

働き方改革ではない、「働きがい改革」。グローバルで「働きがいのある会社ランキング」を公表しているGreat Place to Work Institute Japanの岡元代表は、「日本人は欧米と比較して“仕事を楽しむ”ことが上手ではない」と指摘する。調査結果をベースとした「働きがいのある会社」の共通点を聞いた。

Profile

岡元 利奈子 氏(Rinako Okamoto)

Great Place to Work Institute Japan 代表

大学卒業後、人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業職を経験後、人事コンサルタントとして、人事制度設計・多面評価制度・採用選考設計・従業員意識調査などを行う。その後、海外現地法人に出向し、コンサルティングビジネスの立ち上げ支援、新サーベイ開発のプロジェクトリーダーなどを経験し、2014年より現職。

──働き方改革を政府が主導していますが、「働きがいのある会社」を評価するポイントを教えてください。

岡元 一般的には働きがいは環境や状況、個人の性格などによって変化するものと捉えられています。

 ですが、当機関は「働きがいのある会社には、グローバルの共通要素がある」という考えのもと、世界50カ国で7000社、500万人以上の従業員に調査を実施しています。

 創設者は、米国で労働問題を担当する記者でした。数千名の労働者にインタビューを重ねる中で、「働きがいのある職場には共通点がある」と感じ、モデル化できれば「良い会社」を増やすきっかけになるのではと考えたのが、調査のはじまりでした。

 働きがいに影響するさまざまな要素を知り、「働きがいのある環境」を目指すことで、不況や業績悪化など、困難な状況でもモチベーションの高い社員をつなぎ止めることのできる“強い”企業になることができるという考えです。

──具体的な調査方法は。

岡元 当機関では、「働きがいのある会社」を「従業員が会社や経営者、管理者を信頼し、自分の仕事に誇りを持ち、一緒に働いている人たちと連帯感を持てる会社」と定義しています。その定義に基づき、従業員が「マネジメント、仕事、従業員(仲間)」との関係をどのように捉えているかを「信用、尊敬、公正、誇り、連帯感」の5つの要素で調査します。要素の一例は、従業員がマネジメントを信用しているか、従業員がマネジメントからどれだけ尊敬、尊重されていると感じるか、組織に対しての誇り、コミュニティの質などです。

“変革”がお題目で終わる原因は
低コミュニケーション力

──グローバルで比較したうえでの日本の特徴は。

岡元 評価が高いのは、「連帯感」の「入社した人を歓迎する雰囲気がある」という項目です。日本は“新卒一括採用”という特有の雇用習慣があるため、欧米の企業と比べると、一年に一度、まとまった数の新入社員を全社をあげて受け入れて育てる、という意識が芽生えやすいと言えます。

 一方で、「尊敬」と関連する「福利厚生」の取り組みは、実は欧米ほど充実していない会社も多いのです。

(聞き手・嶋崎有希子)
続きは本誌をご覧ください