2017年8月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

「お客様志向とは何か?」考えてみよう

ISラボ 代表 渡部弘毅

 七夕の短冊に、「世界征服できますように!」とピッコロ大魔王のようなことを書いた、わたちゃんです。家庭の征服もできていないのに、なんと大胆な夢でしょう。

 「お客様志向が重要だ!」というフレーズに異論を持つ人はなく、経営者の方針発表や社内の会議など、さまざまな場面で使われています。お客様接点の現場の方々にとっては、そのようなあたり前のことを言われないまでも、お客様のために一生懸命に応対をしているはずです。しかし、企画部門ではお客様志向の施策を考えるとなると、具体的に何をすればよいのかわからない人も多いと思います。

 たとえば、小売業で「お客様目線で考えてみよう」と言ったときに、自分の目に映る光景は何でしょうか。実は、「お客様の姿」が浮かんだ人は企業目線なのです。お客様目線を考えるのであれば、「お客様の目から見た販売スタッフ」が浮かんでこなければいけません。また、「顧客を囲い込む」という言葉もお客様志向とは言えない言葉です。お客様を囲い込むための施策を考えるのは企業目線で、「お客様にファンになっていただく」ためにはどうすればいいかを考えていくことがお客様志向なのです。

 また、カスタマージャーニーなどのプロセスを定義する際にも違いが出てきます。企業目線のプロセス定義ではなくお客様目線でのプロセス定義をすることが重要となります。「情報発信」ではなく「情報収集」、「販売」ではなく「購買」、「商品サポート」ではなく「商品を楽しむ」というように、お客様のライフスタイル志向でプロセス定義することで、よりお客様視点でニーズや施策を考えることが可能となります。

 「言葉の使い方を変えるだけじゃないか」という意見も聞きますが、「販売」の施策を考えていくと、どうしてもクーポンやキャンペーン、SNSによるクチコミ増加などの販促活動、すなわち企業からのアプローチ中心のものになります。しかし、「買っていただく」施策を考えると、企業からの販促活動だけでなく、お客様の購買体験上でのネガティブ体験をどうやって減らし、ポジティブ体験を増やすためには自社がどのような改善をしていけばいいいか、といった発想が出てきます。お客様志向はキャッチフレーズだけに終わらず、日常の具体的プラン策定時に浸透させることが重要なのです。

 ということで、僕も家庭征服なんて考えずに、「どうすれば家族が喜んで自分のファンになるのか」と思案しながら日々暮らすことにしました。結果、最近家事の役割分担が増えてきています。ファンどころかシモベに成り下がっているように思えてなりません。もしかすると家庭では、顧客志向戦略よりも競争戦略がふさわしいのかもしれません。

図 小売業でのカスタマージャーニープロセス例

図 小売業でのカスタマージャーニープロセス例

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