2017年8月号 <インタビュー>

宮坂 祐 氏

顧客は属性ではなく“状況”で分類する!
「Jobs to be Done」実践の威力

ビービット
エグゼクティブマネージャ・エバンジェリスト
宮坂 祐 氏

「従来型の顧客セグメンテーションでは、他社との差別化が難しい時代になりました。売り上げにつながる打ち手には別のアプローチが必要」と指摘するビービット エグゼクティブマネージャ・エバンジェリストの宮坂 祐氏。「属性」ではなく、「状況」で分析する“Jobs to be Done”の特徴と可能性を聞いた。

Profile

宮坂 祐 氏(Yu Miyasaka)

ビービット エグゼクティブマネージャ・エバンジェリスト

一橋大学法学部卒業後、2002年にビービット入社。コンサルタントとして、メディア、金融、通信、電機メーカー、メディアなどのWeb戦略立案・ウェブサイト成果向上プロジェクトを数多く実施。2013年からエバンジェリストとして、CX/UXをテーマに多くのマーケティングイベントに登壇。

──これまでサービス業全般で広く使われてきた「顧客セグメンテーション」とは異なるマーケティング手法と言われる「Jobs to be Done」の違いと特徴について解説をお願いします。

宮坂 サービス業で求められているのは、どのような顧客がどのようなニーズを持っているのかを知り、そこから製品やサービスの開発や改善に活用し、収益貢献を目指すことです。

 従来型の顧客セグメンテーションは、性別や年齢、居住地、職業、所得、家族構成などの“属性”で区切って分類する手法です。属性ごとの売上高との「相関」は把握しやすいのですが、なぜ売り上げにつながるかという「因果」が分かりにくいです。このため、具体的に強化すべき機能や、競合との関係性において何をどのように実践すれば収益が向上するかは分析しにくい傾向がありました。

 Jobs to be Doneは、「状況」に基づいた分析手法です。顧客の購買に至る背景や要因を探ることができるため、「どのようにすれば売れるのか」という打ち手につなげやすいのです。

──具体的な方法を教えてください。

宮坂 「仕事の合間に一息つきたい状況」「朝の出勤前のバタバタした状況」というように、状況別に個別の事例を観察し、「その人がその状況下で済ませたい“用事”は何か」を探ります。

 「片づけるべき用事」がJobs to be Doneの直訳です。ある状況において「なぜそのような行動を取るのか」を深掘りし、本人すら自覚していないような要望や背景の状況を探ります。そこから、「その用事をもっとも効率的に片づける」ことに役立つ施策を考えていきます。

 同じ人でも状況が変われば異なる行動を取り、異なる人同士であっても同じ状況下では類似した行動を取ります。この「多くの人は環境によって行動が左右される」という傾向性に着目し、状況ごとに適したサービスや商品を考案していきます。これは属性に基づくセグメンテーションではわかりません。

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──ケーススタディを教えてください。

宮坂 Jobs to be Doneを提唱したハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授が挙げた事例を紹介します。

(聞き手・嶋崎有希子)
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