2017年7月号 <特集>

特集扉

シニア対応の『心得』

Part.1 <現状と課題>

年齢ではなく「機能」で線を引く──
“耳・目・脳”の状況を察知する勘所

対話が長引きがちで、とくにストレスフル。「高齢者対応」に苦慮する現場は少なくない。ポイントは、ひとくくりの対応ではなく、身体制限など個別の状況に応じたきめ細かい施策、心情への配慮だ。これは、本来すべてのコールで実践すべきことで、高齢者対応への取り組みは全体的な応対品質向上にもつながる。Part.1では、シニア対応のポイントやそのための人材教育について検証する。

 「高齢者からの電話を苦手とするオペレータが多くて困る」──コールセンターのマネジメント層からはこうした声がよくあがる。

 確かに、用件の整理に時間がかかったり、聞き返しや話の脱線によってスムーズに応対しにくいシニア対応は、確かにオペレーションの難易度が高い。

 だが、外出が困難だったり、PCやスマホでの細かい指先の操作を苦手とする高齢者にとって、電話は唯一のよりどころとなるチャネルだ。

 本特集では、シニア対応をスムーズかつ高い品質で行うためのツール活用や人材育成についてまとめている。

 聴力や視力、記憶力の衰えといった高齢者の特性を理解したうえで見直すべきサービスのあり方や、「経営貢献につながればATT(平均対応時間)を長引かせることを良しとする」という考え方を検証する。

 下図のように、何に気を付けるべきか、どのようなテクニックを応用すべきかを明示し、教育することで、オペレータの苦手意識は払しょくすることができるはずだ。

 高齢者対応について取り組むことは、顧客のさまざまな状況、心情に合わせたきめ細かい対応を追求することにもつながる。

 顧客サービスの抜本的な見直しのきっかけになりうるはずだ。

図 応対のポイント

図 応対のポイント

(出典:TMJ)
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Part.2 <ケーススタディ>

IT活用、ナレッジ共有、人材教育
経営貢献する高齢者対応「3つの柱」

Part.2では携帯電話、生命保険、通信販売の3業種において、高齢者対応にとくに力を入れている事例を検証する。いずれも生活に密着し、高齢者に対する手厚いサポートを必要とする業種だ。IVRの撤廃、伝わりやすい言い換え、研修によるホスピタリティの強化など、多面的な取り組みで、高齢者の満足度を追求しサービス利用の継続につなげている。

CASE STUDY 1:KDDI

「楽しみたい」に応える!
“思いやり”を追求した有料サポート

 もはや生活インフラとさえいえるスマートフォンは、それを使いこなせる若者だけのものではない。「撮った写真を家族と共有したい」「ゲームアプリをダウンロードして孫と遊びたい」──スマホライフを楽しみたいシニア層は、実は厚い。

 KDDIは、こうしたシニアを“とことん”サポートする有料サービスを提供している。契約者には、特定の担当チームにつながる専用電話番号を割り振られるため、IVR操作が不要なうえ、同じオペレータが再度対応する確率も高い。月額課金型のサポートサービスだが、利便性と安心感の高さから継続率は高いという。同社のサポートセンターにシニア対応の極意を聞いた。

CASE STUDY 2:生活総合サービス

高齢者に小手先は通じない!
“人柄”を育て踏み込んでいく

 「人生経験が豊かな高齢のお客様に小手先のテクニックは通じません」──生活総合サービスのカスタマーサービス部でマネジメントを行っている山口圭子氏はこう言い切る。定性評価をベースとしたモニタリングや毎週実施する“人柄”を育成するためのミーティングにより、積極的に踏み込んだ応対を実践。高齢者をはじめ、あらゆる顧客とのエンゲージメント構築を目指している。

“人柄”を育成する勉強会

“人柄”を育成する勉強会

CASE STUDY 3:大同生命保険

「IT活用」「人財育成」で
わかりやすさ/利便性を向上

 大同生命保険は、着信時に顧客DBと照合してIVRを経由せずにオペレータに接続させたり、応対ログを支社の営業担当者に連携してきめ細かい訪問対応につなげるなど、ITを活用して高齢顧客に“安心・安全”なサービスを提供している。オペレータは着信時に高齢の顧客からの問い合わせであることを認識でき、研修によって身に付けたスキルと高齢者に伝わりやすい言い方をまとめた“言い換え集”を活用して、スムーズに対応している。