2017年5月号 <リーダー・オブ・ザ・イヤー 2016>

津江 好美 氏

アウトソーサーの宿命的課題
「標準化活動」の原動力

富士通コミュニケーションサービス
シニア・ビジネスコンサルタント
津江 好美 氏

Profile

津江 好美 氏(つえ・よしみ)

航空会社のCAとして勤務後、豪州でカスタマーサービス業務に約6年従事。帰国後は外資系コンタクトセンターなどを経験し、2005年富士通コミュニケーションサービス(CSL)に入社。運用や人材育成の標準化に取り組み、運用のフレームワークやSVの社内認定制度を構築した。その他リーダー、SV向けの研修コースを複数開発し、CSL Collegeで展開している。

 アウトソーサーに求められる「能力」の最たるものは、サービス品質を高水準で平準化(標準化)することだ。しかし、拠点が増え、スタッフが増えるとその難易度は飛躍的にはね上がる。クライアントの数だけ、ニーズも多様化する結果、品質のばらつきは「ある程度、やむを得ないこと」として見逃されがちになるのも事実だ。

 富士通コミュニケーションサービスは、2005年から標準化に取り組み、サービスフレームワーク「CSL Standard」を構築。約4000名の社員が活用し、のべ400社を超えるクライアントに適用している。その中核となった人物が、津江さんだ。

 2005年に発足したサポートサイエンス推進室では、「People」「Methodology」「Technology」の3つの柱で標準化に挑んだ。津江さんは、「まずはスーパーバイザー(SV)の数・質の向上を図るため、スキルマップを作成し認定制度を設けました」と当時を振り返る。

 さらに属人化の大きな原因だった暗黙知を形式知化すべく運用規格書や各種のツールも設計・構築。クライアントとの共通言語化も進め、業務改善をともに進めるパートナーシップ強化にも大きく貢献した。

新制度の定着にも尽力
作るよりも「使う」ことが重要

 こうしたトップダウンによる改善活動は、どうしても現場からの反発を招きやすい。津江さんを中心としたチームは、現場の負荷を可能な限り低減し、かつ巻き込み型のボトムアップ活動に発展するための粘り強い啓もう活動を継続。一過性の活動に終わらせないため、定期的なアセスメントや表彰制度、事例共有会などを継続開催している。

 とくにSVの認定制度は「成果の可視化が難しい」とされる人材育成において大きな効果を発揮。目指すべき姿が明瞭になったことでモチベーション向上に貢献した。さらに研修カリキュラムにも反映するなど、同社の特徴である「高スキル人材」の育成には欠かせない存在になったと同時に、正社員採用基準のひとつとなるなど、人事制度に組み込まれるまでに定着している。

 津江さんは、「制度とは、作ることよりも作った制度を“使う”ことの方が重要」と強調する。その行動は、同社の特徴のひとつである「人を大事に育て、顧客企業に届ける」という活動の原動力となっているようだ。