2017年5月号 <CS戦略>

マルコ ビル-ピーター 氏

カスタマーエクスペリエンス&
エンゲージメント部門 副社長
マルコ ビル-ピーター 氏

<コーナー解説>
カスタマーサービスに注力し、コールセンターやWebサイト、アプリなどを有効活用し成長している企業のキーマンに戦略を聞きます。

レッドハット

AI活用し迅速なサポートを実現

企業プロフィール

設立:1993年
所在地:米国ノースカロライナ州ラーレー市
事業内容:オープンソース・ソリューション プロバイダー
URL:https://www.redhat.com/ja/global/japan

──事業概要について教えてください。

マルコ オープンソースのOS「Linux」をベースとしたシステム基盤やソリューションの構築、保守サポートを行っています。オープンソース・ソフトウエアの多くは、コミュニティ上でナレッジが蓄積、拡散されます。我々はコミュニティを活用するだけではなく還元することで、共存しながらビジネスを拡大しています。具体的には、エンタープライズでオープンソースを安全に活用したいユーザーに対し、セキュリティ認証や迅速なサポートといった付加価値を提供することでビジネスが成り立っています。

──サポート品質は、ビジネスを左右する重要な要素ということですね。

マルコ エンジニアによる有人サポートの品質向上だけではなく、自己解決率の向上にも注力しています。2011年にユーザー向けのサポートポータルサイトを開設しました。サイト上で、(1)アップグレードのヘルプ、(2)セキュリティの監査、(3)問題診断、(4)問題解析といった4種類のアプリを合計100個以上提供。さらに問題解決のためのナレッジ(FAQ)を約7万件参照できます。検索システムにはAIを導入し、レコメンド機能も実装しています。サポートエンジニアたちは長年の経験から、ユーザーが何に困っているのか、どのような事象が起こっているのかを熟知し、それを自己解決するための具体的なアクションを知っています。それらを集約したものが、このポータルサイトです。アプリやナレッジ検索で解決できない場合は、ポータル上からそのままエンジニアにサポートを依頼できます。

──AIはどのようなものを使っているのですか。

マルコ オープンソースのデータ処理ソフトウエア「Hadoop」をベースに、情報分析基盤システム「Spark」を組み合わせています。弊社のデータサイエンティスト12名が中心となり、サポートエンジニアやポータル開発のエンジニアなどさまざまな人材と共に試行錯誤を繰り返し、2015年から開発してきました。これを、ポータルサイトの他、サポートエンジニアの障害解析でも活用しています。AIの成長は目覚ましく、開発当初は複数回のやり取りを経て解決に至っていたのが、1回の質問で問題の原因を察知し解決を導き出せるようになりました。レコメンドによる自己解決率は15%に達しており、1年半後には50%を目指しています。

──今後の目標は。

マルコ 前年度(2016年3月〜2017年2月)の売り上げは、24億ドルを超え、15年連続成長で、直近でも2ケタ成長を維持しています。システムの状態を自動で監視し、障害を予見することでよりプロアクティブなサポートサービスを実現する「Red Hat Insights」をはじめ、ユーザーがより便利に安全なシステムを活用できる環境を整えることで、ビジネスのさらなる成長を目指します。