2017年4月号 <インタビュー>

上林 恭一郎 氏

リピーター率70%超の秘訣は
「子どもの顧客体験>保護者の満足」にあり

KCJ GROUP
専務執行役員
上林 恭一郎 氏

“ブルーオーシャン”の成功事例として語られることが多いキッザニア。類似の職業体験サービスが増えるなか、リアリティを追求した職業体験を提供することでリピーター70%と安定したビジネスを展開している。リピーターを醸成する「主役=子どもの満足(CS)」の創り方を聞いた。

Profile

上林 恭一郎 氏(Kyoichiro Kamibayashi)

KCJ GROUP 専務執行役員

1971年生まれ。京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事入社。アジアを中心に海外の自動車ビジネスに携わる。2008年キッズシティージャパン(現KCJ GROUP)に取締役として入社後、2012年より同社取締役専務執行役員に就任。

──事業モデルとして掲げている「エデュテインメント」について教えてください。

上林 キッザニアは、「職業・社会体験施設」と称しておりますが、単にさまざまな職業を疑似体験するだけではなく、体験を通じて社会の仕組みや仕事をする意味について子どもたちが楽しみながら学ぶことを目指しています。例えば、店員役とお客様役のどちらも体験可能なパビリオン(アクティビティを行う施設)もあり、さまざまな立場の人が関わり、協力し合って社会が成り立っていることを実感できる仕掛けです。こうした実感を強めるため、リアリティの追求を徹底しています。パビリオンには、出展企業の協力を得て実際に仕事で使う本物の道具を用意しています。本物を手にすることで子どもたちも適度な緊張を感じ、“ごっこ遊び”ではない真の職業体験につながっています。また、国政選挙時には実在する政党名を書いて投票する「こども模擬選挙」も実施しています。こうした本物志向に加え、アクティビティ(パビリオンで体験できる仕事やサービス)の間は保護者から離れることも、子どもたちの緊張感や自立心を刺激し教育につながっていると思います。

出展企業は増加傾向
東西合わせ年間160万人来場

──ビジネスモデルがブルーオーシャンの成功事例として注目されますが、最近は類似の職業体験施設が増えていますね。

上林 農業や伝統工芸などを体験できるなど、職業体験施設は多様化していますが、それぞれコンセプトやビジネスモデルが異なるため、競合という意識はあまりありません。主役である子どもたちのキッザニアに対する期待を捉え、ブレずにサービスを提供していくことが重要だと思っています。ビジネスは順調に推移しており、出展企業は一部入れ替わりつつ増加傾向です。キッザニア東京は開業時(2006年)の48社から56社に増加、2009年にオープンしたキッザニア甲子園は現在62社が出展しています。年間来場者数は東京が86万人、甲子園が73万人。十分な来場者数を維持できています。

キッザニア

CS=“子どもの満足”がカギ
スタッフにも本物の研修を実施

──成長の秘訣は。

上林 来場者の約70%がリピーターです。アクティビティはそれぞれ30分ほどかかり、1回の来場で体験できる数は6、7個までという運営モデルや、3回同じアクティビティを体験するとスペシャルなアクティビティが体験できるといった会員制度などリピートを促す仕掛けもありますが、最大の原動力は、そうした仕掛けとは別に現場の努力で子どもたちに「また行きたい」と言ってもらえていることです。スタッフの対応やコンテンツの表現などに磨きをかけることで、子どもたちの満足を引き出すことが事業継続に欠かせないと考えています。

──すべてのカギはCS(顧客満足)が握るということですね。

(聞き手・石川 ふみ)
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