2017年3月号 <インタビュー>

橘田 尚彦 氏

通販ビジネスの“差別化”拠点
目指すはブランドを創るコールセンター

ケンコーコム
代表取締役社長 執行役員CEO
橘田 尚彦 氏

健康食品・医薬品などの通信販売サイトを運営するケンコーコム。橘田尚彦社長は「コールセンターは通販ビジネスの差別化ポイント」と強調、業務改善に取り組み、昨年11月にはCOPC規格認証を取得した。今後はさらに顧客経験の向上、VOC活動にも注力、さらなるビジネス拡充につなげる構えだ。

Profile

橘田 尚彦 氏(Naohiko Kitsuta)

ケンコーコム 代表取締役社長 執行役員CEO

1967年生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。米国ダートマス大学タック経営大学院にてMBA取得後、ボストン コンサルティング グループを経てMKSパートナーズに参画。2010年、楽天に入社。2012年、楽天マート社長に就任。2014年10月よりケンコーコム代表取締役社長・執行役員CEO。

──社長交代から2年が経過しました。現在のビジネス概況を教えてください。

橘田 就任は2014年10月ですが、当時は消費増税前の駆け込み需要が終わり、売り上げが伸び悩んでいる時期でした。ケンコーコムを長期的に存続させるには売上増が必須です。そこで、まずはキャッシュフローの改善を行いました。具体的には、銀行借入枠の増額交渉や、支払い回収サイクルの見直し、在庫管理の厳密化を徹底しています。また固定費の削減にも取り組みました。福岡オフィスの一部を縮小し、社員が利用する携帯電話の通信費の見直しを図っています。この利潤をマーケティングに投資し、Eコマースの売上増につなげました。さらに通販以外のビジネスも強化しています。メディア事業としての広告関連ビジネスや、当社の在庫を使って小規模店舗の通販ビジネスをサポートするドロップシップなどです。こうした事業は売上規模こそ大きくありませんが、利益率が非常に高い。以上のような取り組みを行ったことで、就任以来、売上高は2ケタ成長を続け、今期(2016年12月期)は7年ぶりに最終黒字を達成する見込みです。これを足掛かりに、さらなる成長に取り組んでいる最中です。

CX向上・VOC活動の重要な起点
コールセンターは投資すべき機能

──健康関連市場は成長基調にあり、競合も非常に多い分野です。また通販ビジネスも一大市場になっています。差別化戦略をどうお考えですか?

橘田 小売業なので価格や商品による差別化は非常に難しいと捉えています。やはりストアブランドや、それに付随するサービスの強化が重要です。通販ビジネスにおけるコールセンターは、お客様にとって身近なチャネルで、応答率や応答時間、オペレータの応対品質、メールの回答品質は、ブランドイメージにとって非常に大きく影響します。しかし以前は、応答率は目標の90%に届かず、生産性も低く、コストも非常にかかっていました。これらの改善が差別化、ブランド強化には必須でした。

──通販なので電話がつながらないと話になりませんね。

橘田 応答率を上げるにしても、さまざまな取り組みがあります。例えば、最初から聞かずに済むなら、お客様にとっても当社にとっても、そのほうが良いはずです。Webのヘルプページを充実したり、商品説明をわかりやすく記載することで、不要な電話を削減しています。またオペレータの生産性を改善し、より多くの電話に対応できるようにもしました。こうした改善を1つひとつ積み重ねた結果、各数値は良くなり、昨年11月には「COPC CSP規格Release5.2」認証の取得という成果につながりました。

──COPC認証の取得にはかなりの投資も伴います。

(聞き手・山本 浩祐)
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