今日から始めるメンタル・ケア One Point Lesson 第1回


始業前に「人と話す」を習慣化しよう

著者:きゃりあす 奥 富美子
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 今日、初めて口をきいた相手はだれでしたか。「ブースに着いて受信した一本目の電話、一人目のお客様が今日初めて会話した相手。あるいは、発信先の留守番電話に録音したメッセージが、今日初めて喋ったこと」になっていませんか。お客様と話をしながら、「あ~、口が回らない」と感じることなどないでしょうか。管理者の方は、出勤してくるコミュニケータの顔を思い浮かべてみてください。彼ら・彼女らは、受発信まえに、「人と話す」ということをしているのでしょうか。

 心身の緊張をほぐすための一工夫と、「話す・聴く」のウォーミングアップを、朝礼に取り入れてみましょう。朝礼の定番である基本用語の唱和に、あえて、業務とは無関係のものを加えます。方法は音読です。音読は、脳の前頭前野を活性化させます。

 『ことばあそびうた』(谷川俊太郎・詩、瀬川康男・絵、福音館書店)は、ひらがなだけで書かれた詩の絵本です。どの詩も、読んでいて、フッと笑いが出るようなお話ばかりです。群読といって、全員で大きな声を出して読むと笑いが出て職場の朝を程よい体温に温めます。群読は、グループ分けしてパートごとに読んだり、一行ずつ交互に読んだりができます。また、リズムを変えたりスピードを変えたりして読むこともできます。さまざまな群読スタイルを楽しむことができるので、その楽しみ方をコミュニケータから提案してもらうのもいいでしょう。

 お勧めの方法はもう一つあります。「対話」です。かつて、朝礼で管理者が出席をとり、その返事からその人の様子を把握するという方法をとっていたこともありましたが、いまは、出退勤管理はシステム化されています。管理者の業務量も増え、個々のコミュニケータの様子を把握することは大切なことであっても、簡単にはいかず、管理者の悩みのひとつでもあると思われます。そこで、コミュニケータの皆さんに力を貸してもらうことにします。コミュニケータ同士で気づき合える場を設けるのです。

 お隣の席の方同士で、または「今週のペア」として週替わりの二人組を組んで、対話することです。テーマは「うれしかったこと、楽しかったこと、ラッキーだったこと」などに限ります。脳に「快」を与え楽しい気分を作り出すのです。「一方が話し、もう一方が聴く」で3分間。交代して計6分のわずかな対話時間ですが、「相手に興味関心を持って話を聴く」という傾聴の練習にもなります。もし、相手から「別に~。うれしいことなんて何にもない!」と言われたら、「そうなんだぁ。」とそのまま受け止めましょう。こうして、相手の様子が「いつもとちがう」を発見するのにも、対話が役立ちます。

 群読も対話も、日常で行っていることに「ひと手間」加えるだけのことです。気遣いのある朝から一日を始めましょう。


(コンピューターテレフォニー2013年2月号掲載)

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2024年01月31日 18時11分 公開

2013年03月28日 14時54分 更新

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