業界専門用語の「壁」

 コールセンターに異動したばかりの社員が最初に感じる壁が、数多くの、初めて耳にする英語表記だろう。

 コールセンターは多くの専用システムがあり、それらの名称や機能の多くが英語で表記されている(図1)。まず、それらを覚えなければ仕事にならない。ACD、IVR、PDDなど、初めて聞く3文字の専門用語をひとつずつ理解する必要がある。



 ACDとは、「Automatic Call Distribution」の略で、自動着信呼分配装置と訳される。コールセンターに着信したコールを自動的に振り分ける装置のことだ。一般的には、最も長く待機しているオペレータから順に均等にコールを着信させるものだが、「優先順位設定(プライオリティー ルーティング)」を活用して特定のグループに着信させたり、「Last Call Agent機能」によって前回応対したオペレータに着信させることもできる。

 IVRは、「Interactive Voice Response」の略で、自動音声応答装置と訳す。平たく言えば、コンピューターが人間の代わりに電話対応を行う装置だ。合成された音声が、着信までの待ち時間にコールが混み合っている旨を案内したり、コールの振り分けのために活用するケースが多い。最近は、カード会社のポイント確認や銀行などの残高照会などは、このIVRのみで完結することも少なくない。また、音声認識技術が進化したことで、「IVRのボタン操作が面倒でわずらわしい」という顧客の不満に応え、顧客の音声指示で自分の目的にあった窓口に着信するような使われ方も増えてきている。

 PDSは、プレディクティブ・ダイヤリング・システムあるいはプレビュー・ダイヤリング・システムの略だ。アウトバウンドコールを効率化する機能を搭載したシステムで、顧客データベースに基づいて次々に自動発信し、相手につながったコールのみをオペレータに均等分配する。

 これらは、多くのコールセンターで使われる代表的な専用システムの呼称、機能名称だ。


(連載「新任マネージャーのためのコールセンター運営の基礎知識」より抜粋 月刊コールセンタージャパン2017年11月号掲載

著者:五月女 尚
この著者の講座は、「コールセンターマネジメント講座・実践編」「 実践!KPIマネジメント・課題解決講座」です。

2024年01月31日 18時11分 公開

2018年02月20日 10時08分 更新

その他の新着記事