目的の達成度を数値で検証しよう

設立当初の目的や方向性などは、経営陣や管理者が入れ替わるたびに形骸化しがちだ。2000年前後に設立した多くのセンターでは、「何を目的に運営しているか」明確に答えられない社員も少なくなっている。

 コールセンターで果たすべき役割を大きく4つに分けると、
①電話の繋がりやすさや正確性、高い品質を維持・向上することによる顧客満足の創出
②労働集約型でスケールメリット効果および業務効率化を活かしたコスト削減
③顧客の声の収集・分析を行い経営に活かすための情報発信
④アウトバウンドやクロスセスなど売り上げ貢献

がある。
 多くのコールセンターで、設立時にはこの4つの役割に関連した目的が存在していたはずだ。
 これらの目的を達成するには、コールセンター専用の高度なシステムインフラを活用したり、場合によっては数百人を超える人・組織をマネジメントする他、マーケティング戦略上の情報発信基地としての地位を確立することが必要になってくる。



 上図はコールセンターのパフォーマンス最適化を達成するためのフレームワークだ。現場の管理者が経営陣に対し、現在のコールセンターの状況や、今後の取り組みについて説明する際、有効に活用できる。

 経営陣がコールセンターをコストセンターと認識している場合は、何を根拠にコストセンターと判断しているのか明確にする必要がある。
 本来は、基準となる指標があり、それを「クリアしていれば効率的」「クリアできなければ非効率」と判断すべきだ。経験と勘だけでコールセンターを運営していると、ロジカルに効率性を説明できず、センター運営の成果をアピールできなくなる。

 例えば、全国の支社/支店で受け付けている電話業務を一元化することで、業務効率化によるコスト削減と顧客の声の収集、経営への反映を図るためコールセンターを設立したというケースがある。
 設立から数年経つうち、日々の電話対応に忙殺された現場では、費用対効果の検証という重要な取り組みが形骸化し、結果、経営陣からコストセンターと認識されてしまったというパターンは多くみられる。
 そうしたセンターで、経営指標のKPIについてヒアリングすると、CPC(コスト・パー・コール:電話1本あたりの単価)の検証や、全国の支社/支店の電話が何割減少し、どれだけ労働集約効果が進捗しているのかを検証している企業は非常に少ない。

 一般的には総ワークボリュームを減少させ、総稼働時間を減少させれば、パフォーマンスの最適化=コスト削減が実現できるわけだが、その取り組みを整理してデータ検証した上で論理的に経営陣に説明することが重要だ。
 マルチチャネル戦略やFAQ活用による呼量削減や、後処理時間短縮による生産性向上、業務プロセス改善、呼量予測精度向上と要員配置の最適化による人件費の削減など、パフォーマンス最適化の取り組みはさまざまだ。どの取り組みを選択する理由や、見込める成果についてロジカルに説明できれば、取り組みのための投資を促すことも可能なはずだ。

 「コールセンターはコストがかかる」と経営が投資を嫌がるケースが散見されるが、センター管理者がもう一度原点に振り返り、現在のコールセンターの役割、目的は何なのかを検証することで、そうした経営の認識を改めることができるはずだ。

(連載「新任マネージャーのためのコールセンター運営の基礎知識」 月刊コールセンタージャパン2017年10月号掲載

著者:五月女 尚
この著者の講座は、「コールセンター運営の基本知識とマネジメント入門講座」「 実践!KPIマネジメント・課題解決講座」です。