SVのためのオペレータ指導要綱第4回



SVの業務姿勢で品質が変わる!
日常心がける「4つのポイント」


“SVはセンターの鏡”といわれる。現場の雰囲気や風通しの良さは、SVが鍵を握っている。SVが笑顔や話し方を心がけるだけで、オペレータの態度は変わり、ひいては応対品質の向上やパフォーマンスの改善につながるはずだ。「歯8本」の笑顔の重要性と、SVとしての話し方に関する4つのポイントを解説する。

著者:市場通信 石橋由佳
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 SVの立ち居振る舞いが、センター運営において絶大な影響力を持つことはあまり意識されていません。面談やフィードバックなどセッティングされた場はもちろん、日常でのSVのあり方もまたオペレータに大きく影響し、ひいては電話応対の品質やセンター全体の空気にも関係します。SVは常にオペレータの模範となるべきだと言えます。
 今回は、日常の場においてSVが心がけるべきポイントについてご説明します。

■SVの「笑顔力」


 センター運営の状態を測るものさしはいくつもありますが、それが最も端的に表れるのは、SVの「笑顔力」です。これは、センターに数時間も滞在すると見えてきます。SVの「笑顔力」が十分なセンターは、オペレータとのコミュニケーションが密な場合が多く、オペレータは頻繁にSVに声をかけ、相談をしています。つまり、オペレータから見てSVが「信頼できる」「相談しやすい」存在である、ということです。

 笑顔と聞いて、「そんな当たり前のことか」という声も聞こえてきそうですが、オペレータが声をかけやすいようにと意識して笑顔を心がけているSVは残念ながら多いとは言えません。業務に追われる日々のオペレーションの中で、忙しさの中でついつい笑顔が消えてはいないか、自らチェックをしたいものです。

 また、ほほ笑みでは足りません。多少ほほ笑んでいるだけでは「笑顔」に見えないことが多いのです。ハッキリと「笑っている」と認識されるためには、前から見て前歯が8本見えるくらい大きく口を開ける、というのが一つの目安です。一日中「歯8本」の笑顔で過ごす必要はありません。あいさつをする時や、時折目があった時、相対して話をする時など、メリハリを付けて笑顔を表現する際にはぜひ「歯8本」を意識し、実践してみると良いでしょう。

■自ら「理想の話し方」で話す


 SVとオペレータの会話の雰囲気は、センターによって大きく異なります。フレンドリーでカジュアルなセンターもあれば、上下関係が厳密なセンターもあります。交わされる会話の内容もさまざまで、私生活をほとんど持ち込まないセンターもある一方、子供の運動会から家族の健康までもが話題にのぼるセンターもあり、どちらが良い、悪いということはありません。

 ただし、カジュアルな雰囲気のセンターでは、業務に関わる話をする場合は、言葉遣いや雰囲気に注意する必要があります。切り替える習慣がないと、顧客との対話にもカジュアルなトーン&マナーを持ち込んでしまうケースがよく見受けられます。

 SVとオペレータの会話であっても、顧客対応における「理想の話し方」をベースにすべきです。笑顔で感じよく、ホスピタリティが大切なセンターでは普段からそれを意識し、順序立てて段取りよく話すことが求められるセンターではロジカルな会話を心がけるといった具合です。センター内での会話の品質がコールに大きな影響を及ぼすことを念頭におき、オペレータに「お客さまと話してほしい雰囲気、話し方」で話をすることをお勧めします(図1)。

図1 センター内での会話の質が重要


■話し方のポイント

 最後にSVの話し方について具体的に説明をします。どのセンターでも共通する内容ですので、ぜひ参考にしていただければと思います(図2)。

図2 SVのふるまい

(1)気を遣いすぎない
 以前も少し触れましたが、SVが気を遣いすぎると、伝えたい内容の核心になかなか触れない会話になりがちです。特に、モニタリングのフィードバックなど、指導の場では率直に意見を伝えるようにしましょう。

(2)ソフトで優しい印象を心がける
 SVに限ったことではありませんが、よく会話の最後の3文字を強く(大きく)発音する方は意外に多いもの。「~ですか?」「~ます!」など、最後に勢いが付くと、いわゆる「語気の強い」話し方になり、きつい印象をあたえかねません。語尾を「乗せる」つもりで、最後の言葉を努めて優しくソフトに付け加えるような気持ちで発音すると相手に伝わる印象が全く違うはずです。

(3)肯定形で話す
 オペレータに指導、注意する場合、「~してはいけない」といった否定形で話すと、後ろ向きな気持ちになりがちです。同じ内容でも、「~するのは(してみるのは)どうでしょうか?」など、なるべく肯定形で話すようにしましょう。たとえば、「ぶっきらぼうに話さないでください」と「もう少しだけ大きな笑顔で話してみましょうか」だったら、どちらがモチベーションを向上させるでしょうか。答えは明らかです。

(4)ボキャブラリーを増やす
 産まれたばかりの子供は母親の話す言葉をまねしますが、センターでは、オペレータはSVの言葉をお客さまとの会話に取り入れます。商品説明などはもちろん、お礼やおわびの伝え方、感謝の気持ちの表現など。SVのボキャブラリーが乏しいとオペレータも同じレベルでしか会話ができないと考えて、SV自らボキャブラリー豊富で表現ゆたかな会話を心がけたいものです。

 最後に、オペレータの会話において、重要視したいのが「褒める」「承認する」という行為です。周知や改善指導などには注力しても、結果を「褒める」「承認する」という行為は意外に忘れられがちです。褒めることはオペレータの努力や成果への最大の承認であり、本人にとっては「ちゃんと自分を見ていてくれる」と感じるものです。

 さまざまな業務を任されるSVですが、ふだんの話し方や振る舞い一つに指導と同じくらいの影響力があると考え、日常においてはオペレータのお手本となることを通じて「指導」をするといった心構えを持ちたいものです。

(コンピューターテレフォニー2012年3月号掲載)

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2024年01月31日 18時11分 公開

2013年02月22日 13時48分 更新

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