~SVの自分磨き~ロジカルで行こう!第5回



鳥の目、虫の目、サカナの目――
「発想」を豊かにする複数の視点


センター運営は、問題発見と対策の繰り返しだ。それは直感と勢いだけで行うべきではなく、問題を多角的にとらえ、複数の対策案を策定し検証後、最適な策を選択し実行するというプロセスが欠かせない。そのためには、さまざまな視点――鳥の目/虫の目/魚の目、自分/相手/第三者の視点が必要になる。

著者:Y'sラーニング 浮島由美子
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 問題に直面したとき、私たちはつい、「問題解決」とは「対策を考えて実施することである」と思い込みがちです。そのため、(1)原因を究明せずに対策を考える、(2)最初に思いついた対策をとりあえず実施する――という間違った行動に陥るのです。

 (1)の「原因究明」の重要性と手法については、前回紹介しました。今回のテーマは、(2)「選択決定」です。「選択決定」は、数ある対応策の中から、思いつきではない合理的な対策を選定することです。

■選択決定のプロセス

 まず、「複数の対策案から最適な対策を選定する方法」について解説します。

 対策案を複数考え出すことは、チャンスの目を広げることに繋がります。複数案からベストチョイスができれば、それはよりよい「対策」への道となります。

 決定までのプロセスは、図1に示しました。最初に「目的」を具体化し、「目標」と「目標に対する制約条件」を設定します。対策案の策定は発想がカギであり、「目的」「目標」「条件」が発想のガイドラインとなります。最後に、すでに設定してある「目標と条件」に照らし合わせて各案の優位性を評価します。最も評価の高い案は仮決定案とし、さらにマイナス面を分析検討すると効果的です。よさそうな案にもマイナス面はあるものなので、見過ごさないよう注意します。マイナスが判明したら、言うまでもなく改善を考えます。

図1 選択決定のプロセス


 図2に例を示しました。内容はあくまでも「例」です。書き出すフォーマットは何でも構いません。ただし、何らかのかたちで「表」や「図」にしてプロセスを共有することをお勧めします。話し合いやホワイトボードの情報は整理されていないことも多く、解釈や認識が違ってしまうことはよくあるからです。各自のメモに依存せず、共通フォーマットに明文化された情報共有が重要です。

図2 選択決定のプロセス記入例


■「視点」の使い分けが発想を生む

 前述通り、プロセスのロジカルでシステマチックな進行は「フォーマット」が助けてくれます。しかし、フォーマットを埋めるだけで、良い「対策案」が生まれるとは限りません。肝心なのは、「発想力」です。

 最後に、柔軟な発想につながる「視点」について解説します。(図3)

図3 対策発想のための視点


 「鳥の目、虫の目、魚の目」はよく耳にする言葉です。先日、野田総理のブログには、「鳥の目、虫の目、心の目」というタイトルの記事がありました。一つの視点からだけものごとを見ないようにしましょうという「考え方」の問題ですので、「心の目」でもいいのかもしれません。

 「自分視点、相手視点、第三者視点」という考え方もできます。「相手の立場に立つ」とは、気持ちの問題と思われがちですが、「視点」という言葉に置き換えると、状況や利害関係など「立場」の意味が論理的に広がります。

 さらに、新たな発想を得られる視点として「異質化」があります。これは、松下幸之助氏が「大きく成長すること」を指して呼んだ言葉で、「異質化こそが成功の条件や」とよくおっしゃったそうです。つまり、もう「異質」のものになるくらい「変えてみろ」ということです。「問題が行き詰ったとき」「思い切った対策が発想できないとき」に、このような視点を持つことが現状打破に繋がります。

■決定前に「STOP & THINK」


 対策を決定するときも、キーワードは「STOP & THINK」です。立ち止まるときのポイントを4つ、以下にまとめます。

1.何のために何を決めるのか?(目的)
2.この決定で、得たい期待成果と制約条件は何か?(目標と条件)
3.他の案はないのか?(複数案からの選択)
4.それに決めて何か問題はないか?(マイナス条件の修正)

 この4点を自問自答しながら、よりよい対策を選定しましょう。

(コンピューターテレフォニー2012年9月号掲載)

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2024年01月31日 18時11分 公開

2013年02月22日 14時06分 更新

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